2020 Fiscal Year Annual Research Report
ビザンティンと中世イタリアの聖堂装飾プログラム比較に基づく相互影響関係の分析
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18H00632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 裕文 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (40537875)
児嶋 由枝 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70349017)
武田 一文 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (90801796)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビザンティン美術 / ロマネスク美術 / キリスト教図像学 / 聖堂装飾プログラム / カッパドキア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定していた海外調査は、コロナ禍による大学の出張不許可によって実行できなかった。代わって、これまでに蓄積した写真資料を整理・共有し、聖堂装飾プログラムに関する議論を行った。 特に聖堂装飾プログラムにおける「キリスト昇天」の位置づけに関しては、一定の結論を見た。ビザンティン帝国首都のコンスタンティノープルで、9世紀に建立された宮殿附属ファロスの聖母聖堂において成立したプログラムが、帝国各地に普及したが、必ずしもそのプログラムの意味は理解されず、誤解のまま受容されたケースも見受けられる。キオス島ネア・モニ修道院(11世紀半ば)は理解して受容した例である。カッパドキア(ウフララ地区エスキ・バジャ・キリッセシ)、ジョージア(ダヴィッド・ガレジャ洞窟礼拝堂)等では興味深い伝播も認められた。 ビザンティン美術史における難題である「ブラケルネの聖母」図像については、今後も議論・考察を深めてゆかねばならない。近年報告されたナクソス島パナギア・ドロシアニ聖堂北アプシスには、コンクにキリストのメダイヨンを抱える聖母の半身像が配され、その下部には「祭司キリスト」を中央に置く特殊なデイシスが描かれている。この作例は、ブラケルニティッサ、デイシス、パントクラトール等、ビザンティン美術において重要な図像の生成に光を投げてくれる。ここにカッパドキア、南イタリア、ロシア、ウクライナ等から得られた知見を加えて考察を続けることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査を挙行できなかったため、当初調査する予定であったいくつかの聖堂壁画を見ることができない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、大学から海外調査の許可が下りる見込みであるので、2021年度の遅れを取り戻すことが可能である。
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Research Products
(2 results)