2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reception and transformation of European Christian art in Japan: 16th-19th century
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18H00633
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
児嶋 由枝 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70349017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志邨 匠子 秋田公立美術大学, 大学院, 教授 (00299926) [Withdrawn]
宮下 規久朗 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30283849)
秋山 聰 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50293113)
谷古宇 尚 北海道大学, 文学研究院, 教授 (60322872)
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キリシタン / かくれキリシタン / イエズス会 / 宣教 / マカオ / 托鉢修道会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主眼は、こうした状況をふまえ、日本の西洋宗教美術受容を国際的な宣教美術研究の展開という文脈の中において包括的に考察することにあり、さらに、いまだ体系的な研究や調査のない「かくれキリシタン」美術や19世紀の宣教美術にも焦点をあてている。 当該年度は昨年度に引き続き、国内外で現地調査の予定であった。とりわけ、ローマのイエズス会古文書館での史料蒐集、ならびに生月島・平戸島(長崎県)におけるかくれキリシタンの信仰具調査に焦点をあてる予定であったが、新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、移動を伴う調査は見送ることとなった。 一方、研究メンバー各自による研究は、以下二点を中心として着実に進められた。先ず、日本人洋画家の手によって日本もしくはマカオで描かれた日本の殉教図(“慶長の殉教図”と“元和の殉教図”)、西欧で描かれた日本の殉教図、そして西欧で描かれた西欧人殉教図の比較分析である。イエズス会士と托鉢修道会士の表象の相違とその宗教的・政治的背景について関連資料の考察をおこなった。特に、日本もしくはマカオで描かれた日本の殉教図に西欧の殉教図像伝統とは異なる要素が少なからず認められることが明らかとなったのは重要といえる。次に、かくれキリシタンの聖画に見られる図像的正統性の問題について考察が進められた。特に聖体の表現とその意味に重点が置かれた。聖体拝領を執り行うことができる司祭が不在であった禁教期における、かくれキリシタンの聖体理解について分析を行った。 なお、日本におけるイエズス会建築と東アジア、特に中国語圏におけるイエズス会建築との比較という観点から、オンラインで研究会を開催した。ハイデルベルク大学研究主任の王廉明氏講演「北京のイエズス会建築と美術」を軸に、北京と長崎、そして府内(現在の大分市)に注目し、東アジアの都市計画における宣教師の関与という視点から考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大を踏まえて2020年度予算は繰越しとした。結果として、国国内外での移動が制限された状況下での、研究内容の見直しが可能となった。また、ズーム等を駆使して研究メンバー同士の意見交換を活発に行えたことは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であることから、コロナ感染状況をみながら、研究メンバー各自による研究成果報告の場をもうける予定である。また、研究成果を纏めた書籍の出版にむけた準備を進める計画である。
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Research Products
(4 results)