2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Food as Creative Action in Contemporary Art.
Project/Area Number |
18H00638
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
椎原 伸博 実践女子大学, 文学部, 教授 (20276679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 卓行 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (00328022)
住友 文彦 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 准教授 (20537295)
丹治 嘉彦 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80242395)
島津 京 専修大学, 文学部, 准教授 (80401496)
神野 真吾 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90431733)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代アート / 食 / 創造的行為 / 味覚 / 持続可能性 / 関係性の美学 / アートプロジェクト / 食の倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究初年度同様現地調査を中心に研究を遂行した。具体的には、中之条トリエンナーレ(林、丹治、椎原)、Reborn-Art Festival(神野、椎原)、瀬戸内国際芸術祭(丹治、住友)、あいちトリエンナーレ(神野、林、住友)、さらに越後妻有の継続的調査を行った(丹治、島津)。海外の調査は、椎原がヴェネチア、椎原、住友が台湾の調査を行ったが、島津が2020年3月に予定していたドイツの調査はコロナ禍で断念ぜざるを得なかった。 一方、2019年度はワインに注目し、10月26日に「ワインは芸術や文化に何をもたらしてきたのか」というテーマのシンポジウムを開催した。そこでは、フランスやイタリアにおけるワイン生産と景観の問題について鳥海基樹氏に、北海道の空知におけるワイン生産とアートを結びつけるプロジェクトについて柴田尚氏に、イタリアのワイナリー〈オルネライア〉の芸術支援活動について曽根博美氏にパネル発表していただき、その後科研メンバーを交えてディスカッションを行った。 このシンポジウムでは、ワイン生産の産業的側面、観光的側面、景観の諸問題や文化財保護の問題等複雑にからみあっており、そこに現代アートの創造性の問題が深く関係していることを確認することが出来た。シンポジウムの成果は基調講演、パネル発表、パネルディスカッション記録で構成される報告書にまとめた。また、本研究メンバー全員の中間報告を掲載し、全国の研究機関、関係する研究者に送付した。 中間報告において椎原は趣味論の視点から考察し、島津は食を扱うアートの情動的な反応について考察した。神野は食とアートに関わる教育的アートプロジェクトを問題にした。住友は、ラオスと台湾の調査報告から、理論的方向性を提示し、林は現代芸術史の視点から食とアートの問題を俯瞰した。また、丹治は越後妻有におけるインタビューの結果を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究者全員が集まる研究会議を年2回開いた。また、10月に公開シンポジウム「ワインは芸術や文化に何をもたらしてきたのか」というテーマのシンポジウムを開催した。公開シンポジウムの記録と研究2年間の成果報告を含む報告書を作成することで、やや遅れ気味だった研究の進捗状況は改善された。 また研究成果の発表については、海外では椎原がベオグラードの国際美学会議、林がビアリッツのバスク県美術大学で行った。国内では、住友が京都の応用哲学会、島津が東京藝大の美学芸術論研究会で行った。また、神野は自身が運営する教育プロジェクトで、住友は館長を務めるアーツ前橋の活動で、食とアートの関係性について考察を進めた。さらに2020年に入り、椎原、丹治、神野は、ユネスコに食文化創造都市と認定されている山形県鶴岡市の調査を始めた。 しかし、2020年になると新型コロナウィルスの問題が起こり、島津が2020年3月に予定していたドイツの調査は延期せざるを得なくなった。しかし、2019年度中に研究成果の中間報告をまとめたこともあり、研究はおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記述したように、2019年度に予定していたドイツ調査が順延となった。 当初2020年度は国内では、札幌国際芸術祭、奥能登国際芸術祭、北アルプス国際芸術祭など、国外では光州ビエンナーレ、マルセイユで開催されるマニフェスト、リヨンの国際美食館、ドイツのインゼル・ホンブロイヒ美術館等の調査を予定した。しかし、コロナ禍により全ての調査を遂行することは出来ないと予測される。 一方、文献研究や出来る範囲の国内調査は続行し、美学会等で研究成果の発表を行う。また、実践的研究グループの住友、丹治、神野は自らが関わる美術館やアートプロジェクトにおいて、食と現代アートの関わりを意識した活動を行う。 コロナ禍で対面の研究会議を行うことは困難になったが、zoomを活用するリモート会議が日常的なものになったので、謝金を使用した外部スピーカーを招聘した研究会を企画している。
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