2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Food as Creative Action in Contemporary Art.
Project/Area Number |
18H00638
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
椎原 伸博 実践女子大学, 文学部, 教授 (20276679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 卓行 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (00328022)
住友 文彦 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 教授 (20537295)
丹治 嘉彦 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80242395)
島津 京 専修大学, 文学部, 准教授 (80401496)
神野 真吾 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90431733)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代アート / 食 / 創造的行為 / 味覚 / 持続可能性 / 関係性の美学 / アートプロジェクト / 食の倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの問題により、予定していた国外調査が全て不可能となり、国内の芸術祭、アートプロジェクト等の調査しか出来なくなった。しかし、国内の調査事案も中止や縮小を余儀なくされており、充分な調査は出来なかった。そのような状況であったが、研究会はオンラインで行い、意見交換を行った。 具体的な研究実績としては、理論的研究グループの椎原は、1995年に青山地区で開催された「水の波紋95’」に関する研究を行い、この展覧会が後の日本におけるアートプロジェクトの先駆けという視点よりも、国際的な現代アートの潮流とリンクしていたことを明らかにした。林はフェリックス・ゴンサレス=トレス作品と「食」の関連性の研究に着手した。とくに、のちにこの芸術家との関連の深い(アーティスト・コレクティヴ、グループ・マテリアルの「パブリック・アート」観とこの芸術家の差異に関する研究を進めた。島津は、食物を扱う現代アート作品のうち、食物を食べることに使用しない作品が観者にどのような影響を与えるかについて、日本の大学生を対象に質的調査を行い、観者の作品評価には、観者自身の食に関する倫理的規範が影響を与えていることを確認した。 次に、実践的研究グループの住友は「生活を変えていくプラグマティックなモダニズム」としての現代アートの把握というテーマをたて、水俣、いわき、石巻等の公害や自然災害を経験した土地の調査を行った。神野は大学での食のワークショップ(講師:中山晴奈氏)をオンラインで実施し、食を含む人間を取り巻く環境に言及したアート展示(米谷健&ジュリア)を企画した。丹治は、全国で開催される各芸術祭において、食とどのような形で関わり、またそこからどのような気づきが生まれたかを、芸術祭関係者や市民へのインタビューをオンラインで行った。そして、食を通してどのような変遷があったか等を聞き取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は4月7日に発出された新型コロナウィルスに関する、緊急事態宣言以降、7月までは全く研究体制が整わなかった。ようやく、8月になってからzoomを用いたオンライン研究会を開催することは出来たが、研究は大幅に遅れることになった。 本研究は現地調査を行うことを前提としており、国内では、札幌国際芸術祭、奥能登国際芸術祭、北アルプス国際芸術祭など、国外では光州ビエンナーレ、マルセイユで開催されるマニフェスト、リヨンの国際美食都市、ドイツのインゼル・ホンブロイヒ美術館等の調査を予定していた。しかし、コロナ禍により全ての調査を遂行することは出来なかった。 そのような状況のなか、文献研究や出来る範囲の国内調査は続行し、十和田、八戸、弘前、水俣、石巻、いわき等の調査を行った。学会発表では、椎原、島津が美学会の東部会例会で研究発表をするなど、研究の遅れを取り戻す努力をした。 また、実践的研究グループの神野は、角川武蔵野ミュージアムで「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」展を企画し、住友はアーツ前橋で「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」展を企画するなどして、本研究の考察を深め、出来る限りの研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの状況の先が読めない状況のなか、2021年1月8日に、二度目の緊急事態宣言が発出された。そのような状況では、国外の調査は先行きが不透明なため、研究最終年度は国内調査を重点的に行うこととした。具体的には、2020年中止や延期となっていた芸術祭のうち、2021年に開催する見通しが提示された、奥能登国際芸術祭、北アルプス国際芸術祭。リボーンアートフェスティバル、中之条ビエンナーレなどを調査することにした。 また、研究2年目に行ったような公開シンポジウムを開催し、各研究者が4年間の研究成果を報告することと、ゲストスピーカーを迎えてディスカッションを行うこととした。さらに、それらは研究成果報告書としてまとめることにした。 さらに、zoomによる研究会の活性化を図ることとし、積極的に外部講師を招聘することを確認し、その一回目の研究会を、2021年2月に行った。そして次年度は、毎月一回のペースで研究会を開催していく方針を立て、ゲストスピーカーの選定等の準備を行った。
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