2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00641
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90323873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 隆二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10637622)
橋本 雄太 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10802712)
梅田 千尋 京都女子大学, 文学部, 教授 (90596199)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近世日本科学史 / 和算史 / 測量術史 / 天文学史 / 本草学史 / 陰陽道史 / 人文情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績は以下の通りである。 (1)2019年8月、中華人民共和国内モンゴル自治区、内蒙古師範大学において開催されたISHIK(国際在来知研究会シンポジウム)において代表者・佐藤が"A Study of Japanese Mathematical Puzzle Book, Gobanjo, in 16th-17th Century"のタイトルで口頭発表した。この成果は、2020年2月に刊行された『電気通信大学紀要』32巻1号に「日本最古の数学遊戯書としての『棊盤上』について」のタイトルで公開した。碁石を用いた盤上遊戯を記した『棊盤上』が、日本古来の算術遊戯を記していることを示し、料紙のC14放射性同位体年代分析を行った結果、15世紀中葉に成立した可能性の高いことが明らかになった。これによって、『棊盤上』は現存する資料としては最古の算術に関する記述であることが判明した。和算の成立を考察する上で、貴重な情報を提示することとなった。 (2)2019年12月刊行、町線寿郎・牧角悦子編『漢学という視座』(戎光祥出版)に「蘭学の導入」の一文を代表者・佐藤が寄稿した。ここでは17世紀の技術移転という視野から、ヨーロッパの測量術の技法がどのような形で江戸時代の測量術に導入されたのかを、図像資料の対比から明らかにした。 (3)2020年2月刊行、町泉寿郎『漢学と医学』(戎光祥出版)に「江戸時代の和算塾の様相」の一文を代表者・佐藤が寄稿した。ここでは、18世紀から19世紀にかけて和算家たちが運営した和算塾の実態を幾つかの事例を検討し、当時のメディアを用いた成果公開の虚実や地域をまたぐ人脈、ネットワークの存在を明らかにした。 (4)研究分担者・梅田は「宝暦改暦前後の土御門家」を朝幕研究会編『論集近世の天皇と朝廷 』(岩田書院、2019年5月刊)に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・2019年8月に中華人民共和国内モンゴル自治区、内蒙古師範大学において開催された国際シンポジウム(在来地歴史学研究会)において代表者佐藤が口頭発表を行った。 ・代表者佐藤による、北海道江差町内の資料調査を実施した。(2019年9月/10月)この調査により、江戸時代最末期の和算・天文暦学関係資料が北海道に現存していることが確認された。最終的な成果報告は、2020年度内に実施する予定である。 ・2020年3月に、彦根市立図書館において科研メンバー全員による資料調査と研究打合せを行った。調査資料は同図書館所蔵、平石家文書で、悉皆調査の第一弾として和算、天文暦学その他の資料を撮影した。研究打合せではこれまでの成果のとりまとめの方針と、2020年度以降の研究の進め方について意見交換を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度と同様の方針で2020年度の研究活動も進める予定であるが、昨年度末より顕著となった新型コロナウィルスの流行の動向を見極めながら、早ければ7月より、遅くとも9月頃より本格的な研究調査活動を実施する。それまでの期間については、昨年度まで収集した各種資料の整理と分析を各メンバーが在宅研究の形で進める。9月以降の予定については、昨年度末に実施した彦根市立図書館の資料調査を再開することと、北海道内での和算、暦学関係資料の調査を全メンバーで実施する方針で計画を立てる。
|