2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00641
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90323873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 隆二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10637622)
橋本 雄太 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10802712)
梅田 千尋 京都女子大学, 文学部, 教授 (90596199)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近世日本科学史 / 和算史 / 測量術史 / 天文学史 / 本草学史 / 陰陽道史 / 人文情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は世界的な新型コロナの流行によって、史料所蔵機関での現地調査がほとんどできなかった。しかしながら、これまで収集をしてきた史料情報の整理分析を深めることによって、下記のような成果を得て実績の公開を行うことができた。 (1)研究代表者の佐藤賢一は、和算と測量術の両分野にまたがる史料を分析し、ヨーロッパ伝来の測量道具の1つであるクロス・スタッフが和算書に紹介されていることを明らかにした。これについては、論文「和算書『枕砕十七綱』に現れる測量術の技法について」を『電気通信大学紀要』第33巻1号において公開した。また、日本総図の作成技法に関する新しい知見を得て、元禄日本総図の歪みの原因を特定することに成功した。これについては、小野寺淳・平井松午編『国絵図読解事典』(創文社)に「阿蘭陀流町見術と元禄日本図の描法」の項目で明らかにした。2019年以来調査を進めてきた開陽丸の引き揚げ文書について、その分析の中間報告を杉本史子主宰「海洋知の再編と日本社会の新展開」研究会において口頭発表を行った。 (2)研究分担者の梅田千尋は、2019年度以来本研究チームで調査を進めてきた彦根市立図書館所蔵の平石家文書について、「史料紹介:彦根藩平石家文書の幸徳井家関係書簡」を『史窗』78号に発表した。口頭発表として、AAS(The Association for Asian Studies) Annual conference 2021(オンライン開催)において、"Religious Groups Without “Scriptures”: What Held an Onmyodo Organization Together?"を報告した。 (3)研究分担者の平岡隆二は、天文暦学史方面で先駆的な業績を残した今井氏についての紹介、「今井[いたる]さんと『天官書』」を『人文』第67号に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナの流行に伴い、各地の史料所蔵機関での現地調査を断念せざるを得なかった。しかしながら、メンバー各自がこれまで収集を進めてきた史料情報の精査分析に努めることで、幾つかの実績を公開することができた。 研究代表者の佐藤は、論文を1つ、事典項目記事を1つ、口頭発表を1回行っている。研究分担者の平岡、梅田も、各自の担当分野において成果発表を順調に行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
・2020年度と同様に、新型コロナ流行の状況を見極めつつ、史料所蔵機関での現地調査を可能な限り再開する。 ・2019年度以来調査分析を進めてきた開陽丸の引き揚げ文書についての最終報告を、洋学史学会主催のシンポジウム(2021年11月)において発表することを決定している。このシンポジウムに基づく論文を、洋学史学会機関誌『洋学』に投稿する予定も組んでいる。 ・現時点では、研究計画に大きな変更は生じていない。
|
Research Products
(6 results)