2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mujyu Dogyo within the Religious Cultural Sphere of the Eastern Provinces and The Production of the Basic Texts
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18H00645
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
土屋 有里子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (70339620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
小林 直樹 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)
加美 甲多 京都精華大学, 人文学部, 講師 (50783578)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 無住道暁 / 沙石集 / 雑談集 / 聖財集 / 東国 / 世良田長楽寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2回研究会を実施した。第1回は9月19日(水)名古屋市立大学にて行った。本研究課題が採択されて最初の研究会であるため、研究全体の概要と見通しなどについて土屋が説明後、『雑談集』の新注釈作業についての検討を行った。当初は『沙石集』についての新注釈を予定していたが、『沙石集』についてはテキストについて一定の充実ぶりが窺われるが、『雑談集』については、無住の生涯や仏教的言辞について非常に有益な情報をもつにも係わらず、注釈が現時点で一書しかない。そのことが大いに無住研究を遅滞させているとの共通認識が研究会参加者の一致するところであった。そこで対象を『雑談集』に切り替え、作業を進めていくこととした。第2回は12月23日(日)名古屋市立大学にて開催した。『雑談集』の基本的な資料を収集したうえで底本を決定し、実際に冒頭部分の検討を通して注釈の方針や見通しについて討論を重ねた。 また本研究のもう一つの要である、無住と東国をめぐる宗教文化圏に関する調査として、群馬県世良田長楽寺を中心とした調査を行った。長楽寺は栄西の弟子である栄朝開基の寺である。無住は栄朝に直接教えを受けることはなかったが、同寺の蔵叟朗誉や一翁院豪のもとで学び、両者の入滅記事を『沙石集』に載せていることからも、その関係性は長く続いたと思われる。特に寿福寺長老にもなった朗誉からは強い影響を受けたようであり、後に無住が東福寺の円爾弁円座下に至る修行の道筋が、この長楽寺修学で築かれたとも考えられる。今回の実地踏査では、これらの問題意識に資する新たな知見を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無住と東国との関連を考えていくために、『雑談集』のより詳細で正確な読解が必要となり、研究会での輪読対象を『沙石集』から『雑談集』に変更したため、準備と作業に時間がかかってしまった。また実地踏査についても、今年度は世良田長楽寺の他に茨城県桜川市真壁を計画していたが、諸事情により予定していた時期に実施することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究会を開催し、『雑談集』の輪読、新注釈書刊行に向けた作業を進めていく。今年度実施できなかった茨城県桜川市真壁における実地踏査を行い、無住が若年時に住んでいた茨城において、影響を受けたと思われる僧侶や宗教的環境について考察を進める。無住が名古屋止住後に関係を持ったと思われる桑名蓮華寺、味鋺護国院等の調査も進めるつもりである。 同時に、無住と東国に展開した諸寺院や僧侶との関係は、「入宋」経験が鍵になるとも考えているため、彼をとりまく入宋僧についての考察も進め、成果を論文の形で発表していく。
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Research Products
(2 results)