2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諏訪部 浩一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60376845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 和彦 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10205594)
阿部 公彦 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30242077)
中嶋 英樹 多摩美術大学, 美術学部, 講師 (70792422)
木村 明日香 中央大学, 文学部, 助教 (70807130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物語論 / ジャンル論 / 小説知 / 認知詩学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「小説知」という新しい概念を提唱する本研究は、人間が世界をいかに認識するかを文学研究の立場から検討する認知詩学・認知物語論の研究をさらに一歩押し進め、「物語」からは区別され「近代」に特有の文学形式たる「小説」という観点から、近代人の世界との関わり方をとらえ直すことを目的としている。 本プロジェクトの二年目は、「小説知」というコンセプトを構築するための基礎作業として、まず、海外の図書施設も活用しつつ、19~20世紀英米小説の個別作家研究書、演劇と小説の比較研究書の収集・検討、物語論・認知詩学、ジャンル論・アダプテーション論の関連書の収集・分類など、データベース構築に向けた作業を継続した。さらに、研究代表者、分担者がおのおのの担当する領域において、「関係の構想」「情動の喚起」「教育的機能」という三つのサブテーマを視野に入れた個別の事例研究を順次発表した(情動性については諏訪部2019年6月を、教育的機能については「読解力」をめぐる阿部2019年5月を代表的な成果としてあげることができる)。共同研究として明記すべき本年度の成果として、日本の近代作家(島崎藤村、谷崎潤一郎)、現代作家(阿部和重、今村夏子、トニ・モリスン)との比較研究、小説の映画・ドラマ化と照らし合わせたアダプテーション研究(レイモンド・チャンドラー)など、諸ジャンルの比較を通して「小説知」概念を構築するための視座が整いつつあることがあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者・分担者それぞれの専門領域に関して、海外の施設も活用して(2019年8月)、資料収集・整理を中心的におこない、その成果を個別作家・作品研究というかたちで発表している。とりわけ、今年度は、日本の近代、現代の小説家との比較考察、小説の映画化、ドラマ化と照らし合わせたアダプテーション研究など、諸ジャンルの比較を可能にするための視座が整いつつあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の収集・分類、データベース化の作業、個別の作家研究、作品研究の発表を本年度も継続していく。新型コロナウイルス感染症の影響から、国内外の講演招聘、学会参加などは、対面形式では難しいと見込まれるため、各所属先の活動制限指針に従いつつ、遠隔会議ツールを用いた会合を企画するほか、資料収集の前倒しを図るなど、安全かつ柔軟な対応を取る。
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Research Products
(11 results)