2018 Fiscal Year Annual Research Report
An International and Interdisciplinary Study of 'Anti-Psychology' in British Modernism
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18H00653
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
遠藤 不比人 成蹊大学, 文学部, 教授 (30248992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 亜佐子 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (10246001)
田尻 芳樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20251746)
秦 邦生 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00459306)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英国モダニズム / 近代心理学 / 精神分析 / 歴史記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績で特筆すべき点は、コーネル大学ジョージ・マカーリ教授を招聘し、成蹊大学 (2019年3月11日)と京都大学(3月26日)においてワークシップを開催したことである。マカーリ教授は著書Revolution in Mind: The Creation of Psychoanalysisにおいて、フロイトの精神分析が既存の近代心理学を巧みに引用しながらそれを独自に編集することでその言説的布置から逸脱し、いかなる形でオリジナルの「心」をめぐる科学へと発展していったのかを詳述しており、その議論は精神分析を「近代心理学理性批判」として再読する試みである。このテーマは本研究課題と直結しており、マカーリ教授は研究協力者として来日した。成蹊大学と京都大学でのワークショップにおいてマカーリ教授と「反心理学」としての精神分析について多岐にわたる議論をすることができた。ちなみにこの著作は研究代表の遠藤による邦訳が、みすず書房より近刊となっている。さらに研究分担社の中井が、2018年9月29日にMax Saunders ロンドン大学教授を招聘し、当該テーマと歴史記述をめぐるワークショップを一橋大学で開催し活発な議論をすることができた。
二番目に強調すべきは、海外での研究発表である。本研究課題の主要テーマは英国モダニズムをめぐるものだが、この主題に関して新たにModernist Studies in Asia (MSIA) が発足した。この第一回の大会が香港のThe Education University of Hong Kongにて2018年6月15日に開催された。この学会において、研究代表の遠藤と分担研究者の秦が「反心理学」と英国モダニズムをめぐって口頭発表を行った。研究分担者の田尻は、Beckett を中心に今年度3回ほど海外の国際会議で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に関しては、当初予定していたロンドン大学の研究協力者ソヌ・シャムダサニ教授の招聘について、日程の都合などにより実現できず、この計画を実行できなったことにより、本研究課題の進捗状況に遅滞をきたしていると言わねばならない。
その一方で上記で報告したように、海外からの招聘、海外での発表について、複数の研究プロジェクトを実践をしており、海外の当該分野の研究者との国際的かつ学際的なネットワークの構築という目標に向かって着実に進んでいるとも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、海外からの当該分野の研究者の招聘によるワークショップなどの開催、海外の国際会議への積極的な参加などにより、狭義の文学研究の枠を超えた学際的研究を国際的な水準で実践することを最大の目的としているが、昨今、複数の要因によりその実現が困難になる場合がある。それを踏まえて、当初の計画にかわるものも用意しながら、柔軟に対応していくことを考えている。その一つとして、国内の研究者とのオンラインを使用した学術会議を想定している。
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Research Products
(11 results)