2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cultural contacts between Russia and the Caucasus : Dynamism of Mutual Transformation
Project/Area Number |
18H00655
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楯岡 求美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60324894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 唯史 京都大学, 文学研究科, 教授 (20250962)
Grecko Valerij 神戸大学, 国際文化学部, 非常勤講師 (50437456)
伊藤 順二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80381705)
佐藤 千登勢 法政大学, 国際文化学部, 教授 (90298109)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | トビリシ / ジョージア民主共和国 / 雪どけ期 / アルメニア / ジョージア / 映画 / ロシア語劇場 / トフストノーゴフ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に現地研究者との問題共有と研究のベース固めが出来たため、予定通り、担当者各自が独自に現地調査、資料収集、分析を行った。 3月に来日したカルトージア教授(トビリシ大学)に引き続き協力を得て、ジョージアの民主共和国期とソ連期に対する歴史的評価の変化と映画・文学をはじめとする創作表象の変化について、共同研究を行い、「雪解け期ソヴィエト映画と ジョージア(グルジア)映画スタジオ」をテーマに京都大学、東京大学等で研究成果を発表した。 9月に2名がトビリシに渡航し、カルトージア教授の協力を得て、国際共同研究強化(B)「 多言語多文化芸術運動としてのトビリシ・アヴァンギャルドの歴史的資料調査と考察」(増本浩子神戸大学教授代表)と共同で、初年度から研究協力を得ているガヤネ・シャゴヤン博士、レヴォン・アブラミャン博士(アルメニア科学アカデミー文化人類学研究所)、コルネリヤ・イチン教授他(ベオグラード大学)らの参加を得てトビリシ大学にて、国際シンポジウム“The Dynamics of Cultural Processes between Center and Periphery”を開催し、研究交流を行った。カルトージア教授の尽力により、国立図書館、文学図書館、映画演劇図書館等で資料調査を行ったが、ソ連崩壊後、内戦を経て、アーカイヴが主としてグルジア語資料の収集に力を入れて来た結果、歴史的資料であってもロシア語資料の入手はかなり難しい。図書館関係者によると、アルメニア語の資料収集には専門的知識が必要なため、散逸が問題になっている。ソ連期にロシア中央で活躍した文化人たちとの結びつきをブランド化する動きも一部にみられる。ロシア語劇場は、存続意義の根拠としてレニングラードで活躍した演出家トフストノーゴフとの関係を強調している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、トビリシでの国際シンポジウムに日本の若手研究者からも報告を募り、非ロシア地域での旧ソ連研究者間の交流を深めることができた意義は大きい。10月にカルトージア教授がオーガナイザーとしてトビリシで開催されたフンボルトコレーグにも院生含む2名の若手研究者を派遣することができ、若い層においてもソ連研究への関心を惹起できたと思う。本科研に関わった研究者の中で、社会主義文化および社会主義リアリズムの研究会が組織され、活動が始まったことにも本科研が一定の役割を果たしている。引き続き努力したい。 2-3月に日本への招聘、海外渡航計画があったものの、新コロナ禍のために企画が中止になってしまったものがあり、作業が滞ってしまった。引き続き、厳しい状況が続きそうであるが、各地でリモート会議の技術も導入されてきたので、現地との交流を絶やさないようにしたい。しかしながら、リモートの打ち合わせが増えることで、かえって、直接会って交流することの重要さが明確化している。状況が改善されれば、速やかに現地調査を行える体制を整えておきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初は中間的なまとめのために、一同が会するような国際会議を想定していたが、世界的な情勢が不透明なこと、それぞれの本務校のカリキュラムに大幅な変更があることなどから、今年度も引き続き、各担当者がそれぞれの関心に従って研究を深め、スケジュールを縫って現地調査を行う努力をすることとする。全体での研究交流会については、各地で図書館等文献へのアクセスが難しいことも鑑み、各研究者の研究の進行状況を見ながら、可能な範囲でリモート会議を行い、意思の疎通を図る。 今年度前半は主としてすでに収集済みの文献資料の分析を行い、来年の最終年度に向けて、現地調査に必要な作業を精査する。後半で、渡航可能であれば、現地調査を再開するように準備したい。 メール等で現地の研究者との連絡を密に行う。それぞれの成果を論文として雑誌等に投稿する。若手に対しても、厳しい研究環境に対する支援を行って、ソ連文化の多様性研究への関心を喚起していきたい。
|
Research Products
(16 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] ロシア文化事典2019
Author(s)
沼野充義、望月哲男、池田嘉郎、楯岡求美編著
Total Pages
886
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30413-6
-
-