2019 Fiscal Year Annual Research Report
International comparison on the relationship between municipal language policy and linguistic awareness
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18H00689
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚原 信行 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (20405153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 敦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (00622482)
柿原 武史 関西学院大学, 商学部, 教授 (10454927)
佐野 直子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (30326160)
窪田 暁 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (40643119)
藤井 久美子 宮崎大学, 多言語・多文化教育研究センター, 教授 (60304044)
石部 尚登 日本大学, 理工学部, 准教授 (70579127)
庄司 博史 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (80142016)
角谷 英則 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 准教授 (90342550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 移民 / 言語 / 社会統合 / 自治体 / 言語意識 / 国民国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、スイス・フィンランド・デンマーク・ルクセンブルク・フランス・アメリカ合衆国・アルゼンチン・カナダにおける対象自治体で、視察・面談と資料収集を中心として、移民政策およびその周辺における言語の位置づけ(移民に対する言語教育・言語支援サービス・母語教育・職業訓練における言語の扱い・移民2世の言語使用・移民団体の文化活動、等)に関する調査を実施した。 地理的・文化的・社会的に多様な調査対象自治体の比較から、あらためて認識する必要が明らかになった重要な点の一つは、ホスト社会の主流言語に関する移民の能力(移民のホスト社会言語能力)と、移民の社会統合とを関連づける議論が、「国家・民族・言語」の一体性を自明のものとみなす、いわゆるネーション-ステート(国民国家)の観点に強く依拠しているということであり、かつ、移民政策のこまごまとした具体的実践が営まれる日々の現場では、そのことがまったくと言ってよいほど不可視化されている、ということである。 移民政策における言語の扱いは、その国家が言語的にどのように編制されるべきであるかという社会的言語意識と、実際にどのように編制されている(されてきた・されつつある)かという現実認識との間で、具体的な形をとると考えることができる。したがって、具体的な移民言語施策から読み取れる「言語意識」と「現実認識」の相対的関係を明らかにすることが、施策の分析には有益と推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、実施予定だった現地調査一件を延期せざるを得なかった。また、現地へ赴いたが、同じ理由で実際の調査が著しく制限された事例が一件、社会的に影響の大きな事件(学校における銃乱射事件)を原因として教育委員会での面談調査アポイントメントがすべてキャンセルされた事例が一件あった。国際比較を中心的課題とする本研究にとって、3件のデータ不足がもたらす影響は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大による現地調査上の制限が継続することを想定し、面談調査を電話やビデオ会議システムに切り替えて行う。また年度前半は資料収集および分析など、研究従事者各自が個別に推進できる内容に注力し、年度後半に状況が改善した場合にはすぐに現地調査に再着手できる準備をすすめる。
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Research Products
(10 results)