2018 Fiscal Year Annual Research Report
新設科目「歴史総合」のモデル構築:高大連携による世界史・日本史教育の統合
Project/Area Number |
18H00704
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
茂木 敏夫 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10239577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸川 点 拓殖大学, 国際学部, 教授 (50781225)
日高 智彦 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (60803921)
岩井 淳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70201944)
木村 茂光 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (90134759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史総合 / 高大連携 / 歴史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者・分担者4名・研究協力者4名(10月からは5名)による東京女子大での定例研究会を6回、合宿研究会を2回、海外調査を1回(韓国)行なった。12月合宿は静岡で実施し、うち1日は静岡歴史教育研究会と「実現可能な『歴史総合』を考える――近代化・大衆化・グローバル化の検討」を共催した。その他、それぞれが個別に高大連携歴史教育研究会や日本歴史学協会などの「歴史総合」関係の企画に参加、報告、意見交換を行なった。 本研究は、既に行ってきた「歴史総合」に関する検討に基づき、副読本の作成を課題としているが、2018年度前半は、17年度末の指導要領公表を受けて、副読本の構成や内容、叙述の形式について調整した。18年度後半は、7月に出た指導要領解説に即して、再調整した。その検討内容についてはその都度、他研究会で発表し、意見を求めた。 また、歴史の教育現場での創意工夫に役立つような副読本とするため、教科書づくりや授業実践の試みについての調査も進めた。本研究第1年に予定していた韓国出張は7名で実施し、韓国の歴史教育について調査するとともに、ソウル市内の高校2校での歴史の授業を参観し、現場教員との意見交換を行った。また、新たに加わった協力者からドイツの歴史教科書や教育内容について学び、さらに最近の日本でも注目されるようになってきた国際バカロレアに関して、専門家の教授を得て、「歴史総合」でどう活かせるかを考える機会をもった。 2018年度末には副読本の構成と執筆分担も決まり、19年度から一次原稿の執筆、検討に入る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始前から「歴史総合」のあり方や内容について検討を重ねてきた蓄積があったことが幸いし、発表された指導要領やその解説を受けての調整や改変が比較的スムースにできた。 当初の計画では、検討結果を年度末に報告書にまとめ、それについて高校現場の教員を含む有識者に意見を求めることを予定していたが、それについては、高大連携歴史教育研究会や日本歴史学協会など関係各団体が開催する「歴史」総合関係の企画において、本研究会メンバーが報告する機会をしばしば得られたので、その都度意見交換ができたため、それを以て、報告書作成と意見聴取に代えることができた。 そのため、2018年度末には副読本の構成と大まかな執筆分担も決まり、2019年度には一次原稿の作成にとりかかれるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は副読本の一次原稿の作成につとめる。作成された原稿はその都度研究会で読みあい、検討する。併せて日本史と世界史、あるいは日本史と東洋史・西洋史の最新の研究成果を「歴史総合」にどのように組み込むかを模索するとともに、教育現場でその研究成果を反映させた授業実践ができるような資史料の作成を進める。 新たな歴史教科書の叙述や授業実践についての参考として、昨年の韓国に続き、2019年度は最近教育内容の変更を行なった台湾の実践を調査する。2020年度はドイツ調査を予定している。 問題点としては、これまでの研究活動のなかで、ジェンダー視点についての弱さを感じることがあった。そのため、2018年秋から女性研究者1名に研究協力者として加わっていただいている。さらに今年度は、作成する第一次原稿について、同様の立場から意見を述べていただく協力者をお願いする予定でいる。
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Remarks |
静岡歴史教育研究会の成果報告書『歴史教育の地域的基盤を構築する教材・教授方法の探究と高大連携の継続』(静岡大学人文社会科学部社会科歴史学コース、2019年3月)に、2018年12月15日研究会報告(岩井淳・君島和彦・油井大三郎)と参加記(日高智彦)を寄稿
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