2020 Fiscal Year Annual Research Report
新設科目「歴史総合」のモデル構築:高大連携による世界史・日本史教育の統合
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18H00704
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
茂木 敏夫 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10239577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸川 点 拓殖大学, 国際学部, 教授 (50781225)
日高 智彦 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60803921)
岩井 淳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70201944)
木村 茂光 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (90134759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史総合 / 高大連携 / 歴史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、当初(1)「歴史総合」の教師用副読本の原稿作成、(2)ドイツの歴史教育の現状視察、を主な課題としていた。年度初めから対面での研究会に代わり、zoomによる研究会を毎月1回おこない、副読本原稿の作成を順次進めた。しかし、ドイツ視察は不能になったため、2021年度、2022年度と再度の繰越を余儀なくされた。 なお、2020年4月から女性研究者1名に協力者として参加していただくことになり(代表・分担者4名・協力者6名になる)、前年度に課題としたジェンダー視点について、これを補うことを試みた。 副読本の作成は毎月のzoom研究会で、各自が分担執筆した原稿を読みあい、修正を重ねて、繰越した2021年3月にはほぼ完成した。それをもとに、分担箇所以外の原稿作成、出版社と体裁等の調整をおこなったうえで2021年9月以降、印刷、2022年3月に刊行した(『資料と問いから考える歴史総合』浜島書店)。2022年4月からの新設科目「歴史総合」実施に間に合わせることができた。 また、ドイツの歴史教育視察は、再繰越しした2022年度は航空運賃高騰などの理由で、全員の参加が困難になったため、それに代わる措置として、国内での高校教育の現場での歴史教育、特に始まったばかりの「歴史総合」教育を視察し、高校教員と意見交換すること、および近現代史に関する史跡等の視察をおこなうことに変更し、2022年9月に札幌、2023年3月に福岡・佐賀・長崎を視察した。当初の予定とは異なり、再繰越しとなったことにより、既に「歴史総合」の授業が開始されていたため、各地の高校教員と「歴史総合」の授業実践に関しても、意見交換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師用副読本を完成させることができた。再繰越しにより2年延長となった結果、新設科目「歴史総合」の実施と、そこでの授業実践も観察することができ、副読本の改善すべき点や有効な利用方法などについて、考察することができた。 当初予定していたドイツの歴史教育の視察は、2018年度の韓国、2019年度の台湾と、東アジアの視察によって得られた知見と併せることが期待された。実施できなかったことは遺憾であるが、代わりに実施した国内視察で、高校教育の現場における「歴史総合」教育実践に関して知見を得ることができ、有益だった。 総じて、再繰越しによって、当初予定になかった知見も得られ、当初の予定に匹敵する成果が得られたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年3月に刊行した教師用副読本について、その内容や教育現場での活用法について、検討を重ねていくことが必要である。そのため、多方面からの意見を聴取し、意見交換する機会が必要である。「歴史総合」も2年目になり、高校教育の現場でもようやく慣れてきたと思われるので、これからの検討が重要である。 「歴史総合」教科書の検討もおこない、当該新設科目を充実したものにすべく、高大連携の立場から考察を進めていくことが必要である。 また、2023年度から「日本史探究」、「世界史探究」が開始されたので、その教科書についても検討し、「歴史総合」との接続について検討し、何らかの提言をおこないたい。
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