2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Regional Toshogu Shrines and the Deification of Ancestors in the Edo Period
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18H00711
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 覚 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80324995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根原 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (30222079)
中川 仁喜 大正大学, 文学部, 准教授 (30633482)
佐藤 眞人 北九州市立大学, 文学部, 教授 (40222020)
山澤 学 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60361292)
大川 真 中央大学, 文学部, 准教授 (90510553)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東照宮 / 神格化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の史料調査は、研究代表と研究協力者およびアルバイト(学生・院生)の組織を中心に、因幡東照宮別当寺であった大雲院において行った。併せて鳥取県立博物館において、鳥取藩政資料の調査も実施しつつ、史料の撮影・データ打ち込みなどを実施した。本年度は、コロナウイルスの感染拡大等で叡山文庫の調査は実施していない。 研究代表者は、以上のデータなどを整理し、研究分担者と共有することを目指し、研究分担者は、各自の研究テーマについて調査・研究を一部進めた。 本年度の研究実績で特筆すべきは、こうした研究の方向性を日本の宗教史・文化史に広げ、国内外の研究者と議論することで本研究の深化を図ることを試みた点にある。そのために、2019年度は関連する共同研究とライデン大学の協力を得てシポジウムを実施した。2019年6月3日・4日に"Religion in the Age of the Book: Changing Relations between Shinto and Buddhism in Early Modern Japan"と題し、オランダのライデン大学でシンポジウムを開催した。本科研からは、研究代表岸本覚「神社の鐘は誰のものか:幕末日本における梵鐘の供出と神仏分離」、研究分担者佐藤眞人「日本における人神信仰の形成:八幡神を中心に」、同曽根原理「中世神話と近世神話:聖徳太子信仰をめぐって」、山澤学「東照大権現の性格」、同大川真「幕末の尊王思想はなぜ過激主義化したのか:天皇の宗教的権威をめぐって」が研究報告を行い、国内外の研究者との議論を深めた。 2019年度末に、北九州市立大学でライデン大学の総括・成果・課題や研究の途中経過を報告し合う予定であったが、コロナウイルスの感染拡大によって延期することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度末からの新型コロナウイルスの感染感染拡大により資料調査や研究会への出張や研究室への出入りができなくなり、研究代表や研究分担者の調査が途中までしか実施できなくなった。さらに、年度末の研究会も中止のやむなきに至った。 本来は、2月~3月にかけて鳥取市立川にある因幡東照宮別当寺大雲院において史料調査を実施する計画を立てていたがその実施を中止せざるを得なくなった。また、研究代表・研究分担者によって、3月13日北九州市立大学で年度末研究会を計画していたが、急遽中止、現在のところ延期という形にしている。そのため一部旅費をキャンセルする事態となった。 因幡東照宮別当寺大雲院における史料調査は、研究代表者らのメンバーで撮影したものを整理し、それを研究分担者に送付する方向を考えていたが、残念ながら大学における研究活動も中止されているため実施することができないのが現状である。 研究分担者においても、各テーマの進行がなかなか進まない状況で、今までの史料調査や整理をするのが精一杯である。こちらの整理したデータを研究分担者に送付するための作業も止まっている状態のため、事実上各研究者が自宅でできることを行ってもらっている。しかしながら、実際は各大学・研究機関においては新たにオンライン授業・在宅勤務に対応するので精一杯である。 以上の理由により、計画していた科学研究費補助金の2019年度2020年度研究計画は大きく「遅れている」と言わざるを得ない状況である。今後研究計画を大幅に変更せざるを得ないのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新型コロナウイルス感染症がおさまるまで、史料調査や研究会は中止し、今までの史料(デジタルデータ等)の整理を進め、研究分担者と共有することを目指す。 鳥取大学においては、いつから研究活動の再開が許可されるかわからず、アルバイト学生の史料撮影・整理活動を進めることはできない。また大雲院調査も、どうしても三密を避けられないことから中止を余儀なくされている。残念ながらいまだ再開の見通しは立っていない。昨年度まで撮影してきたデータの整理もアルバイト生なしで進めることも困難なことから感染状況と研究活動中止解除の様子を見ながら考えていきたい。また、史料調査や研究会の再開も、感染状況と各研究機関・大学の様子を見て判断することとしたい。とりあえず、各研究分担のテーマについては昨年度からの連続を考えており、以下の通りである。 研究代表は、諸国東照宮と上野寛永寺・幕府などとの関係や役割・機能の分析・考察を進める。研究分担者は、それぞれの研究テーマに沿って分析・考察を進める。テーマは、歴代藩主祈祷・城内祈祷など鳥取藩に関わる儀礼等についての分析・考察(中川仁喜担当)、東照宮祭礼や歴代将軍祭祀(年忌法要)などの重要行事の分析・考察(曽根原理担当)、大雲院の大師堂再建や東照宮信仰についての分析・考察(山澤学担当)、さらに幕末期の神仏分離と大雲院の関係の分析・考察(佐藤眞人担当)、そして幕末期諸国東照宮が直面した「尊王」思想との関わりについての分析・考察(大川真担当)である。 研究会再開のときには、まず①シンポジウムの成果と課題について議論し、その成果の公表についての準備を進め、②研究活動の中止に伴う研究計画の見直しと各テーマの見直しなどについて協議し、次年度以降の調査・研究計画の調整や公表・公開の方法に関する検討を始める。
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Research Products
(7 results)