2020 Fiscal Year Annual Research Report
古代メソポタミア北部における歴史時代の物質文化の研究ー日本隊の発掘資料を中心にー
Project/Area Number |
18H00743
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
沼本 宏俊 国士舘大学, 体育学部, 教授 (40198560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30323223)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
西山 伸一 中部大学, 人文学部, 准教授 (50392551)
眞保 昌弘 国士舘大学, 文学部, 准教授 (60407202)
小高 敬寛 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任准教授 (70350379)
下釜 和也 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (70580116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メソポタミア / テル・タバン / アッシリア / 楔形文字 / 古バビロニア |
Outline of Annual Research Achievements |
シリア、テル・タバンの05~10年の調査で出土した古バビロニア、中期・新アッシリア時代の未公表の重要遺構と遺物に焦点を置き研究分析を実施した。1)古バビロニアの粘土板文書と共伴し出土した遺物のトレース及び図版作製。2)中期アッシリアの地下式巨大煉瓦造墓からの出土遺物の解析。3)中期アッシリアの粘土板文書が出土した王宮建物跡から出土した遺物の分析と作図・図版作成。4)中期アッシリアの王宮と考えられる公共建物の変遷を分析し詳細な変遷図を作製した。5) 中期アッシリアから新アッシリアの過渡期層の遺構遺物を分析し、正確な年代を決定した。 東大総合研究博物館に保管されているイラク、テル・サラサート1号丘出土の古バビロニア時代の土器資料の整理分析を実施した。 イラク、クルディスタンの二つの遺跡の発掘調査は現地のコロナ感染拡大により実施できなかった。 1.新アッシリア時代の拠点都市ヤシン・テペ遺跡の調査では2016~19年の調査で出土した資料の分析を国内で実施した。2017年に発見した地下式レンガ墓の人骨研究、衛星データを利用したヤシン・テペ周辺の景観研究、土壌分析による鉄器時代から青銅器時代の水路の規模と持続時期について究明した。 2.シャフリゾール平原に所在するシャカル・テペ遺跡の2019年の発掘調査で発掘区の最上層からは歴史時代の直前に当たる銅石器時代の文化層が検出され、メソポタミア一帯に共通して分布する土器などが出土した。この資料の整理分析を国内で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イラク、クルディスタンの二つの遺跡の発掘調査はコロナ感染拡大により実施することができなかった。故に予想した大きな研究成果をあげることができなかった。 国内の日本隊発掘資料の整理・研究分析については、国士舘大学に保管しているシリア、テル・タバン出土資料の研究分析に関しては進展しているが、東京大学総合研究博物館に保管されている東大イラク・イラン調査団が発掘したイラク、テル・サラサートの資料の整理・分析はコロナ感染により予定よりも遅れている。古代オリエント博物館に保管されているシリア、テル・ルメイラの資料分析は概ね順調に進展している。 テル・タバン出土の古バビロニアと中期アッシリアの楔形文字文書の研究分析の文献研究班は、テル・タバンの文字資料に関した論文公表、成果発表を随時行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も東京大学総合研究博物館、古代オリエント博物館、国士舘大学が保管する北メソポタミアの歴史時代の土器資料の研究分析に重点を置きつつ、並行しイラク、クルディスタンの二つの遺跡の発掘調査を実施する。 イラクの発掘調査は現地の政情により、実施できない可能性もある。2020年度は夏に調査を予定しているが、現状では非常に難しいと思われる。当年度中に調査が実施できない可能性もあり、国内研究に重点を置く必要もある。 特に東大博物館に保管されているテル・サラサート1号丘出土の古バビロニア時代の土器の整理・分析を重点的に行い、テル・タバンの資料と比較検討する必要がある。 今後はテル・タバン資料と他地域遺跡との資料を詳細に分析・比較検討し、北メソポタミアの土器編年の確立を目指したい。研究成果の公表が遅れているので早急に公表できるよう努めたい。
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Research Products
(11 results)