2019 Fiscal Year Annual Research Report
佐波理製柄鏡の総合調査をもとにした佐波理製作技術の起源に関する研究
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18H00750
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (90250381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 寛貴 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (30293690)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高錫青銅 / 銅鏡 / 佐波理 / 巨石文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
佐波理製作技術はアジアにのみ見られる独特の技術であるものの、東アジアを起源としていない。現在のところ、最古の佐波理製品は紀元前一千年紀のインド巨石文化の副葬品とされるが、その起源地、起源年代は不明瞭である。この問題を解明するため、佐波理製品の分類、金相及び成分分析を行って製作技術と形態を検討した。インドの研究機関に所蔵される巨石文化期出土品を中心とした金相分析、鉛同位体比の分析報告作成を継続した。 2018年度におこなった予備的現地調査をうけて、起源地候補である中央アジアと中東地域のうち、イランとウズベキスタンにおいて、現地研究者との共同調査にかかわる了解覚書締結をおこなう予定だったが、コロナ禍等の事態で不可能となった。あわせて、同じく佐波理製品と同様の高錫青銅器の調査を計画し、インドの巨石文化から出土する高錫青銅器の年代が紀元前1千年紀であるため、同じく紀元前1千年紀の高錫青銅器を出土している朝鮮半島の青銅器資料調査を候補とした。しかしながら、これも直前になって韓国内でコロナがウィルスが流行したために、韓国側からから調査の中止を要請される結果となってしまった。その後、韓国側とは2020年度以後の調査実施で合意した。 佐波理製作技術の極東地域での技術変容と受容形態をあきらかにするために、北海道と長野県の歴史時代銅鋺資料の科学分析結果の報告準備をおこなった。分析手法は鉛同位体比分析と金相分析、成分比分析である。金属器生産に重要な位置を占める金属原料の採取法と鉱山の実態を知るために、兵庫県の中瀬鉱山と鳥取県因幡銀山の現地踏査をおこなった。また、二元系高錫青銅である佐波理製品と三元系高錫青銅の製作技術の相違を確認するため、日本列島内の三元系高錫青銅鏡の資料調査をおこなった。これに関連して青銅鏡を数多く含む三重県八代神社蔵鏡の分析報告作成を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本列島の佐波理資料であるが、科学分析を開始できたことと、2018年度にウズベキスタンおよびイランの青銅器所蔵機関で予備調査をおこなうことはできた。 しかしながら、ウズベキスタンとイランの研究期間との、共同研究に関わる了解覚書締結が、コロナ問題等もあって進展せず、調査もできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウズベキスタンもしくはイランの佐波理製品所蔵機関と了解覚書を結び、2022年度以後も粘り強く交渉する。 また、これまでに科学分析と青銅器の資料化をおこなったインドの研究機関所蔵品に関して、科学分析結果の公開を主とした成果報告をする。三元系高錫青銅鏡の製作技術との比較も含め、青銅鏡の分析報告を作成する。
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