2018 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Studies on Economic Development and Multi-level Governance of Resources: Case Studies in Ethiopia
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18H00785
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮脇 幸生 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60174223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 真如 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定准教授 (10444473)
児玉 由佳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長 (10450496)
利根川 佳子 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 講師(任期付) (10608186)
藤本 武 富山大学, 人文学部, 教授 (20351190)
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30459309)
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)
佐川 徹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70613579)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重層的ガバナンス / 資源 / エチオピア / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
【ティグライ州】眞城は2018年4月の首相交代の影響を調査した。ティグライ州は1991年の現EPRDF政権下で目覚ましい経済発展を遂げており、今回の調査では工業化に注目した。首相交代ならびにティグライ人民解放戦線(TPLF)の影響力の衰退に伴い、ティグライ資本のエチオピアの他州からの引き上げなど興味深い事例も明らかとなった。また、ティグライ州と隣接するエリトリアと20年ぶりに国交が回復し、国境が再開された影響についても調査した。 【アムハラ州】児玉は主に先行研究によりつつ、エチオピアにおける花卉生産と稲作、および国際市場についての理解を深めた。 【アディスアベバ】西は国家と国民との交渉過程において、開発とガバナンスに関わる秩序がどのように形成されるのかという問題について、人類学分野の研究レビューをおこなった。またアディスアベバにおいて、与党の権力基盤の変動が民族自治制の実施に与える影響に関する現地調査をおこなった。利根川は、公立小学校2校でインタビュー調査を中心とするフィールド調査を実施し、アディスアベバにおける障害児の教育の現状を明らかにすることを試みた。 【オロミア州】田川はボラナ県で約1か月間、アジスアベバで約2週間、政府機関を対象に調査を行った。 【南部諸民族州】藤本は、水力発電用のギベ第四ダムの建設現場を、コンタ側から訪れることを試みたが、許可が得られず、訪れることはできなかった。ただし初めて訪れたコイシャとツァーラで短期間ながら調査を実施し、この地域の栽培植物の分布を明らかにした。宮脇は、ウォイト川河畔に農牧民ツァマコと農耕民コンソの共同作業によって新たに作られた耕作地を訪れ、その概要を把握した。佐川は、エチオピア西南部のダサネッチにおいて、政府が進める大規模開発政策とフードセキュリティ政策により、住民の資源利用がどのように変容しているかの予備的な調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および分担者8人のうち7人は、当初の計画通り調査地をおとずれ、予備的な調査を行った。またそれにより、今後の調査計画を、当初よりもより具体的な形で構想できるようになっている。また残る一人も、先行研究を分析することにより、調査テーマについてより明確なビジョンを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
【ティグライ州】眞城は、エチオピアにおける政治や経済の変動を継続して分析しつつ、ティグライ州の経済発展に政党が及ぼした影響について掘り下げて検討する。 【アムハラ州】児玉は、国際市場におけるエチオピアの花卉産業および稲作について、日本国内でもヒアリングなどを行うのと同時に、現地調査を通してその実態を理解し、輸出/現金作物である花やコメの生産が、社会にどのように影響をあたえているのかを分析する予定である。利根川は、アムハラ州における初等教育の障害児の教育状況を調査することを計画している。アディスアベバとの比較を行い、国際的な「インクルーシブ教育」とエチオピアにおける「インクルーシブ教育」の違いを明らかにしていく。 【アジスアベバ】西は国家と国民との交渉過程および開発とガバナンスに関わる秩序形成に関する論文を執筆する。またエチオピアにおいて、与党の権力基盤の変動が民族自治制および保健セクター開発の実施に与える影響に関する現地調査をおこなう。 【オロミア州】現在ボラナ県ではヤベロ周辺において、大学の設立、インフラ整備からNGOによる協同組合支援まで多様な開発が進められている。田川はそれらの全体的な把握とその方向性、および開発プロセスの調査を行う。 【南部諸民族州】藤本は、農耕民マロの現地調査を実施したいと考えている。領域の周辺部で行われているギベ第四ダムの建設状況および地域への影響を把握するとともに、リセトルメント(再定住)プロジェクトについても継続調査を実施する。宮脇は、ウォイト川河畔の耕作地の形成過程について、インタビュー調査を通じて明らかにする予定である。佐川はオモ川河口のダサネッチにおいて、資源利用の実態調査をするために、過去10年間で人びとにとって重要な生業となった漁労に注目したい。具体的には、人びとが湖や川へのアクセスをどのように管理しているのかに焦点をあてる
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[Book] 発展途上国の困難な状況にある子どもの教育-難民・障害・貧困をめぐるフィールド研究(第6章 エチオピア・アディスアベバ市における「インクルーシブ教育」政策と実態-関係当事者の認識から探るインクルーシブ教育の検討)2019
Author(s)
森五郎・澤村信英, 朝隈芽生, 清水彩花・ガラーウィンジ山本, 福地健太郎, 利根川佳子, 大塲麻代, 川口純, 日下部達哉, 清水貴夫, 小川未空, 日下部光, 乾美紀, 坂上勝基, ファナンテナナ リアナスア アンドリアリニアイナ・澤村信英, 吉田和浩, 黒田一雄, 内海成治, 小野由美子・志賀圭
Total Pages
400(122-143)
Publisher
明石書店
ISBN
4750347817
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[Book] 新しい国際協力論[改訂版](第13章「国際教育協力」)2018
Author(s)
山田満, 中野洋一, 吉川健治, 金森俊樹, 堀江正伸, 丸山隼人, 本多倫彬, 田中新悟, 桑名恵, 福井美穂, 利根川佳子, 滝澤三郎
Total Pages
368(309-332)
Publisher
明石書店
ISBN
4750347612
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