2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Investigation of the Process of Formation, Development and Transformation (Decline) in the Modern Hispanic World
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18H00786
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
吉江 貴文 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70405489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 有子 (清水有子) 明治大学, 文学部, 専任准教授 (00727927)
齋藤 晃 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (20290926)
網野 徹哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60212578)
中村 雄祐 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (60237443)
小原 正 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (60715035)
伏見 岳志 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70376581)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文書ネットワーク / ヒスパニック世界 / スペイン帝国 / 文書管理実践論 / 近代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、15世紀末以降、海外征服・植民地化事業に乗り出したスペイン帝国が世界規模で築いた文書ネットワークの成立・展開・変容(衰退)の過程と植民地社会におけるその実態について、スペイン、ラテンアメリカ、アジア各地の文書館における実地調査を通して史料分析の研鑽を積み、文化人類学、歴史学、識字・リテラシー研究、史料論、人文情報学(DH)などの実践的アプローチに精通した文書研究の専門家たちの知見を結集することによって総合的に究明を図ることを目的として計画されたものである。 研究初年度となる本年度は、そうした目的を達成するための第一歩として、4月から7月にかけて国内研究者、海外協力者(ウィルデ氏)を含めた全体会議を実施し、3年間の具体的な研究活動の策定を進めた。その結果、研究前半の2年間は主に個々のメンバーが研究活動の土台となる基礎的データの収集および関連情報の把握に努めたうえで、最終年度となる2021年にアルゼンチンで本課題をテーマとした国際コロキアム会議を開催し、本研究の最終的な成果について国際的に研究発信を行うというプランで合意を得ることができた。 そうしたプランに基づき、8月以降は、各自が海外の研究機関や文書館等((スペイン、イタリア、メキシコ、グアテマラ、ボリビア、アルゼンチン、フィリピン)に赴いて実地調査を遂行し、それぞれが重点的に担当する研究領域の課題究明に向け、基礎的な資料の収集活動を行った。本年度後半は、海外調査において収集した情報・資料を各自整理してデータベース化し、資料コーパスの構築・分析を進めた。その上で、研究者全員によるミーティングおよびディスカッションを実施し、それぞれの研究担当領域についての知見の共有化を図るとともに、本研究全体の目的である、スペイン帝国の文書ネットワークの展開過程の究明に向けた総合的な議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最も大きな目標として、研究活動全体の土台となる実地データの収集およびデータベースの構築に各メンバーが努めるということが挙げられる。その点について、具体的に以下のように評価できる。 まず研究分担者の小原は、スペインのトレド市の貴族歴史文書館とセヴィージャ市のインディアス総合文書館で資料調査を行ない、16~17世紀の中央アメリカにおける文書作成・流通・保管プロセスに関するデータを収集することができた。同じく分担者の清水は、フィリピンの聖トマス大学付属文書館およびバルセロナのイエズス会カタロニア文書館で調査を行い、フィリピン・コレクションの日本関係文書他を収集することにより、アジアを中心とした文書流通面を究明するための基礎資料を集めることが出来た。また分担者の齋藤は、近世カトリック教会とりわけイエズス会の海外宣教関連文書の分析およびデータベースの構築を進めることにより、文書の物質的位相の解明に向けた有意義な情報を抽出・整理したほか、フィリピンで海外調査を行い、スペイン統治時代のキリスト教的文書管理実践に関する情報収集を進めることが出来た。同じく分担者の中村と伏見は、研究協力者の真鍋、小風の協力を仰ぎながら、16 世紀半ばにスペイン北部の商業都市ブルゴスで活動していたサラマンカ商会の元帳、日記帳を対象として、複式簿記に対するTEI準拠マークアップの適用、可視化の可能性について検討を進めた。最後に研究代表者の吉江は、海外研究協力者と連絡を取り合いながら、最終年度の国際コロキアム会議の実施に向けたプランニングを進めたほか、ボリビアにおける実地調査を実施し、公証人文書を中心とする文書の物質的位相の解明に向けた基礎資料の収集を行った。 以上、本年度の研究活動の総合評価としては、一部、研究繰越が出たほか、おおむね研究計画通りに推移しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、海外学術調査を補足的に実施するとともに、国内ミーティングや研究会を通して研究領域の連携をはかり、研究課題の最終的な究明に向けた準備を進める。具体的に次年度に関しては、次の二点に重点を置いて研究活動を行う予定である。 ①初年度に引き続き、ヨーロッパ、ラテンアメリカ(メキシコ、グアテマラ、ボリビア、アルゼンチンなど)を中心とした海外学術調査を補完的に実施し、研究全体の基礎となる資料の収集・整理ならびにデータベースの構築作業を完成させる。 ②国内ミーティングや研究会を通して各研究領域の連携強化を図り、スペイン帝国の文書ネットワークの成立・展開・変容(衰退)の過程の究明に向けた全体的な論点の整理やディスカッションを進める。 具体的に、次年度は、以下のような形で研究活動を実施する予定である。 まず年度前半は、国内研究者7名および海外研究協力者(ウィルデ)による打合せ会議を実施し、海外調査・国内研究の推進プラン、および来年度に予定している国際シンポの準備計画等について調整・確認を行う。その上で、7月以降を中心にヨーロッパおよびラテンアメリカでの海外学術調査を実施する。具体的には、スペイン(清水、伏見)、グアテマラ・メキシコ(小原)、ボリビア・アルゼンチン(吉江)等での実地調査を予定している。それと並行して国内研究においては、可視化システムの構築作業(中村、伏見、真鍋、小風)および収集資料の整理・分析、データベース化作業(齋藤)をそれぞれ進める。その上で、10月以降は、収集した資料・情報の整理・分析・データベース化などの作業を進め、研究領域間の連携に向けた資料コーパスのとりまとめ、および研究者全員によるディスカッションを実施し、それぞれの研究領域についての知見を吟味するとともに、全体的な研究成果を纏めるための作業を進める予定である。
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Research Products
(1 results)