2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 将紀 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60251435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川出 良枝 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10265481)
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
犬塚 元 法政大学, 法学部, 教授 (30313224)
上神 貴佳 國學院大學, 法学部, 教授 (30376628)
尾野 嘉邦 東北大学, 法学研究科, 教授 (70598664)
川崎 修 立教大学, 法学部, 教授 (80143353)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本政治 / 若年層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の具体的な研究項目は,①思想・実証双方のアプローチにおける若年層の感情・認知・行動研究の綜合,②実務家に対するヒアリングを通じた社会的レレヴァンスを伴う理論構築,③若年層の政治参加や市民教育をめぐる諸問題に対する政治思想史・規範理論からの接近,④サーヴェイによる実証,⑤社会的還元を含む幅広い発信,の5つである。 研究期間の第2年度である2019年の研究実績は,昨年度に引き続いて各研究分担者において①と③を進めるとともに,当初の研究計画に従って④に関するパイロット調査を実施したことが挙げられる。 調査の結果,18~29歳グループの自民党相対得票率が5割近くに及ぶなどの投票行動に見られる若年層の「保守化」と言われる現象を争点態度のレベルで捉えた場合,①憲法改正・防衛力強化・日米安保強化・治安維持と私権制約の関係に対する態度に見られる権力観における保守性,②財政政策に対する態度の代表される経済政策における現状維持志向,③選択的夫婦別姓や同性婚に対する相対的賛成度の高さに象徴される伝統的社会の価値観からの自由,という必ずしも同じ方向ではない各要素を合成した結果であるという仮説が導き出された。また,若年層の政治的知識と教育の効果に関しても,いくつかの知見を得られた。 更に,本調査結果を,2003年度以降研究代表者が従事してきた東京大学谷口研究室・朝日新聞共同調査データと比較すると,2012年以降,若年層における他世代と比べて顕著な自民党相対得票率の増加を指して「保守化」と呼ぶ場合,それを裏付けるような認知面及び感情面での態度変化は見られないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時の研究計画調書に記載したとおり,本研究課題が採択された後,メンバー全員による包括的研究会が組織され,本年度においても継続されている。全員研究会での相互レビューは若干遅れている一方,パイロット調査では当初期待していた以上の成果が得られ,全体としてはおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の第3年度においては,主として以下の2点での展開を予定している。 第1に,全体研究会のメンバーを拡大して,最終的な研究成果物の取りまとめに向けた具体的な動きをスタートさせる。本報告書作成時点では新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため,拡大研究会の開始には至らないが,終息次第着手する予定である。 第2に,2019年度に実施されたパイロット調査で得られた知見を踏まえて,本調査を実施する。同調査は次期衆議院議員総選挙に合わせて行うこととしているが,本年度に総選挙が行われなかった場合には調査経費は翌年度に繰り越すこととする。
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Research Products
(31 results)