2018 Fiscal Year Annual Research Report
Globalizing East Asian Historical Perception Problems
Project/Area Number |
18H00827
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大芝 亮 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (50168910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 鍾元 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20210809)
伊藤 裕子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (20316904)
馬 暁華 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30304075)
佐々木 卓也 立教大学, 法学部, 教授 (60202090)
林 載桓 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (80615237)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東アジアの歴史認識 / 国境をこえる記憶 / アメリカのマイノリティ / 歴史博物館 / ユネスコ世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年6月に研究プロジェクトの進め方について研究会で議論し、今年度について報告を依頼する研究者の候補を挙げた。これに基づき、研究会を以下のとおり開催した。①2017年7月、日韓文化交流基金・春木育美氏による、韓国系アメリカ人の歴史認識について報告があり、「日本海」「東海」など地名の呼称をめぐる、韓国系アメリカ人の状況を議論した。②11月、馬暁華氏による米国におけるマイノリティ博物館について報告が行われた。あわせて中国における歴史問題に関連する博物館の展示状況の変化についても議論がなされた。③2019年1月、Torsten Weber氏による日中歴史戦争についての報告が行われた。南京事件と氏が注目するラーベ日記について意見交換が行われた。④吉川元氏はアジアの安全保障と広島における記憶について報告を行った。あわせて広島における記憶の継承について議論が行われた。翌年4月の研究会では丸山直起氏にユダヤ人とホロコーストと題する報告を依頼することを決定した。 アメリカにおける東アジア歴史認識をめぐる社会状況について、伊藤裕子が海外調査を行った。 上記の研究活動とは別に、それぞれが事故の役割りに関する研究を進めた。大芝はユネスコ・世界遺産委員会における東アジア関連候補をめぐる政治対立状況について、主に公式記録の分析を行った。林載桓は、2018年度は米国で在外研究に従事することになり、米国での東アジア歴史認識問題についての研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度(初年度)は、まず、先行研究のレビューを行うことをめざし、研究会をほぼ隔月で開催した。また、各自がそれぞれの役割り分担についての研究を進めることで、国境をこえる記憶問題について、研究動向を把握することができた。テーマ別に述べると、歴史認識問題について、東アジア3か国それぞれにおける状況を、Weber、馬、吉川の3氏による報告を基に議論できた。次にアメリカにおける東アジア歴史認識問題の展開状況については春木、馬がマイノリティに焦点を当てて報告を行い、伊藤による現地調査により、理解を深めることができた。 ユネスコ世界遺産委員会審議にみられる東アジア歴史認識問題については、大芝が公式文書の分析を進めた。この点は、2年度において、ユネスコ関係者による報告あるいは関係者へのヒアリングを進めることが課題である。 研究会において、日本や中国における博物館展示の特徴および変化について議論が交わされ、文献調査を補う素材としての博物館展示の重要性を認識した。 以上のように、全体として、きわめて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においては、テーマ的にはユネスコ世界遺産委員会審議における東アジアの歴史認識問題の分析を進める。公式文書の分析に加え、関係者へのヒアリングを進める。 次に、韓国における歴史認識問題の研究者との意見交換を講演会もしくはミニワークショップとして設ける。現状分析とともに、国境をこえる記憶という視点の有効性と問題点についても意見交換を行う。また、記憶問題は現在も日韓関係において高度に政治的問題ではあるが、本研究プロジェクトでは、研究者間の学術的議論を進めることをめざす。 第3に、海外調査について、研究代表。研究分担者の役割り分担に従い、実施していく。 第4に、研究代表が研究に従事する広島では記憶の継承が重要な課題となっている。日本における歴史認識を形成するうえで重要なインパクトを与えてきた広島における記憶継承について、広島の研究者と意見交換の場を設ける。 以上の具体的計画を進めながら、本研究プロジェクトの特色である、国境をこえる記憶という視点について検討を進める。本研究は、東アジアの歴史認識についての研究であるとともに、記憶に関する理論的研究をめざしているからである。
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