2020 Fiscal Year Annual Research Report
新しい肺移植制度の構築と評価:ドナー交換移植の可能性
Project/Area Number |
18H00830
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗野 盛光 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90732313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00700494)
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 教授 (40272687)
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 移植医療 / 経済制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本での肺移植におけるドナー交換制度の確立に向けた評価を行い、制度構築を目指すことである。ドナー交換は、患者とその親族の生体ドナーが医学的に不適合である場合に、二組の患者とドナーのペアの間でドナーを交換し、両患者が肺移植を受けられるようにするものである。現在の制度では、ドナー交換がないため、患者とドナー候補の 親族は自分自身で血液型など医学的不適合性が分かるため、そのようなドナー(潜在的ドナーと呼ぶ)は病院で検査等受けず、実際の移植ドナーになることはなく、医療記録は存在しない。シミュレーションには、この潜在的ドナーのデータが不可欠である。令和元年度は、岡山大学病院で数年分の潜在的ドナーのデータを収集し、その結果、生体移植だけを許容した場合にドナー交換しても、移植手術数がそれほど多くないことが判明した。よって、本研究では、生体ドナーだけでなく脳死ドナーも同時にドナーになるハイブリッド移植も含めた研究に方向転換した。そのため、脳死ドナーのデータを得るために、日本臓器移植ネットワークに申請を行った。しかし、申請が認められずデータ入手が出来なくなったため、公開データに基づいてランダムに生成し、シミュレーションを実施した。このシミュレーションでは、まずは交換移植のみに焦点を当てて、ドミナントマッチングを求める発見的解法を見つけ、それを適用した。また、臓器移植など診療予約システムについて、先着順では闇市場が起こる可能性が存在するが、抽選方式ではそれを防げることを理論と実験で示し、海外学術財誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本臓器移植ネットワークでデータ申請が認められなかったが、公開データを用いて軌道修正し、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ドナー交換移植のみのマッチングアルゴリズムを、ハイブリッド移植を含めたアルゴリズムへ拡張する。
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