2018 Fiscal Year Annual Research Report
Discount rate and international environmental agreement in climate change
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18H00833
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
西村 和雄 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命教授 (60145654)
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際環境協定 / 微分ゲーム / 割引き率 / Payoff dominant NE / 政策担当者 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い割引率の研究と微分ゲームモデルの研究を進めた。割引き率に関しては、国際交渉において政策担当者が用いる割引率(政策担当者割引率)を提案し、その精緻化を課題に挙げている。そのヒントを得るべく、温暖化交渉に携わった方々へ、自身および他国担当者の外交交渉における態度についてヒアリングを行った。結果として、政策担当者割引率は、as if 的にとらえるべきものであることを認識するとともに、その背後にある複数の目標の存在を理解した。すなわち、国際交渉において何らかの合意に到達すること、既存の国際合意を具体化し、より望ましい方向に進めること、NGOを含む利益集団間の要求の間のバランスをとること等である。割引き率に関するもう一つの研究として、地球温暖化問題が世代間衡平に関わることから、手続き的正義の観点からの規範的割引率について定式化し考察した。これは現在世代と将来世代の交渉解をラムゼーモデルに翻訳した際に現れる割引率である。 微分ゲームの研究では、国際環境交渉をモデル化し、payoff dominantなナッシュ均衡(NE)を分析すること、特に異質プレイヤーモデルを分析することを課題としている。本年度は、そのようなモデルの分析に着手し、LQモデルのクラスで、解析的に解けるところまで解くことを試みている。また協力解の概念について検討している。同時に、同質プレイヤーモデルでの結果を論文にまとめ、また、以下の基礎的な研究を行った。戦略空間に不連続関数を含むことでより多くのMarkov perfect NEが生じ、効率的NEの可能性も広がる一方で、分析は困難になる。この困難を克服する方法に関する研究(gain function の利用、value function の連続性をいかに保証するか等)。LQモデルからラムゼーモデルへの展開に関わって、ラムゼーモデルの解の存在証明。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って予定通りに研究成果をあげることができていると考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って進める。LQ モデルによる異質プレイヤーモデルの分析で、非線形 Markov perfect NE 戦略を closed form で得ようとする努力を続けているが、これをさらに続けるべきか、解析的にわかることを明らかにしたうえでシミュレーションに切り替えるか、その選択が研究遂行上の課題。
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Research Products
(10 results)