2020 Fiscal Year Annual Research Report
Discount rate and international environmental agreement in climate change
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18H00833
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
西村 和雄 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 特命教授 (60145654)
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際環境協定 / 手続的世代間衡平経路 / 社会的割引率 / 政策担当者 / 微分ゲーム / 利得優越均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
隣り合う世代、あるいは重なり合う世代が資源配分と分配について交渉を行う動学的な交渉モデルを引き続き研究した。その交渉解経路は、各将来世代の意向が現在の意思決定に反映されることから、世代間衡平に関する手続き的正義を満たす。本研究では、その解を、手続き的世代間衡平経路 (PIEP) と呼び、PIEPをラムゼーモデルの解に翻訳する割引率を社会的割引率と呼ぶ。本年度は、3つの例示的なモデルについて社会的割引率を導出した。交渉モデルに関するもう1つの研究として、本研究の手続き的正義とRawlsの原初状態との関係を考察した。世代間衡平の文脈で、原初状態において人々は、自身が将来世代に生まれる可能性を考え、将来世代の立場を社会契約において考慮することになる。したがって、そこで選ばれる社会厚生関数は手続き的正義を満たす。原初状態からは、平等主義だけでなく、(割引のない)功利主義とNash交渉解もまた選択される(Binmore , 2005)。PIPEは、原初状態で選ばれるNash交渉解の動学版であると見なすことができる。 国際環境協定のゲーム分析として、非対称2人LQ微分ゲームの分析を引き続き進めた。本研究では不連続なサブゲーム完全ナッシュ均衡を特徴づけることを課題している。一方で、値関数は連続であるため、その不連続点ではジャンプ元とジャンプ先の値関数の値が一致する必要がある。しかし解析的に値関数が同じとなる戦略の組を特徴づけることはできなかった。また、数学や工学の知見を期待して状態変数を追加することで割引のないLQモデルに変換する方法も試みたが、新しい洞察は得られなかった。さらに数値シミュレーションも試みたが、解析のヒントを得ることはできなかった。本年度得られた成果としては、より基礎的なものだが、微分方程式で記述される不連続な均衡戦略が一意的に定まる条件を明らかにした。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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