2020 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00835
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
星野 伸明 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (00313627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (20372948)
入江 薫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (20789169)
佐井 至道 岡山商科大学, 経済学部, 教授 (30186910)
丸山 祐造 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30304728)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プライバシー / 統計的開示制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、復元抽出の族であるベル多項式分布の理論的解析を続けた。これまで定数として扱ってきたセル確率がランダムの場合に理論を一般化したのが主な進展である。ランダムなセル確率は連続な単体上の分布なので、離散の単体上の分布であるベル多項式分布族と同じ構成を用いることが出来る。しかし離散の場合は総和が母数として残る条件付けが自然なのに対し、連続の場合は必ずしも総和を母数として残したくない。総和を消して割合の周辺分布を使う方法を「正規化」と呼ぶ。非負実数上の無限分解可能分布を正規化して得られる単体上の分布は「正規化無限分解可能分布」と呼ばれる。ベル多項式分布の大半は非負整数上の無限分解可能分布を条件付けして得られるので、正規化無限分解可能分布との類似性が興味の対象である。解析の結果、二次モメントまでは比例することが分かった。関連して、ベル多項式分布の正規化無限分解可能分布による混合分布のモメントも導出した。特に、ディリクレ分布は正規化無限分解可能分布の特殊ケースであり、この場合はベル多項式分布の混合分布の確率関数も陽に書ける。またディリクレ分布の有限混合分布がベル多項式分布の共役事前分布になっていることも分かる。この成果はベイズ統計学におけるベル多項式分布族の利用へ途を拓くものであり、重要と考える。その他、セル確率が定数の場合について成立するベル多項式分布のギブス確率分割への分布収束が、混合分布でも保持されることも示した。 コロナウィルス蔓延のためグループとしての研究活動は制約を受けたが、オンライン研究集会は開催した。これまでの対面集会とは異なる聴衆に参加していただき、積極的な意味もあったと思われる。またSpringerから英文研究書籍を出版し、研究成果の普及に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
差分プライバシーの利用で先行する米国でのベイズ統計学の影響力は大きく、関連研究もほとんどベイズ的に行われている。疑似多項分布などの本プロジェクトの成果を展開するに当たり、ベイズ的な位置づけは整理しておく必要があった。この問題が予想外に上手く解けたので、研究グループのベイズ統計学者との協業も加速出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究は進展しているが、応用上の基礎的結果であるベル多項式分布族が差分プライベートであることを未だ論文化していない。研究プロジェクトも5年計画のうち4年目を迎えるので、そろそろ論文を書く方に時間を使うべきと考える。
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Research Products
(12 results)