2020 Fiscal Year Annual Research Report
中国一帯一路政策とアジア債券市場構想の政策的親和性:国際公共財・ネットワーク理論
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18H00851
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
島田 淳二 青山学院大学, 経営学部, 教授 (40383492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佃 良彦 東北大学, 経済学研究科, 名誉教授 (10091836)
宮越 龍義 法政大学, 理工学部, 教授 (60166139)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
日置 史郎 東北大学, 経済学研究科, 教授 (80312528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アジア金融市場 / ネットワーク理論 / 国際公共財 / 一帯一路政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
18,19年度の研究実績を踏まえて、未着手な研究であるネットワークモデルと公共財モデルの構築に注力をした。 B公共財理論班(趙・宮越)は、研究目的(I)の理論で、資金の提供国、公共財の提供国・フリーライダー国、便益の受益国という3者の利害関係を解明できる2公共財モデルを構築したうえで、解の存在・一意性を与える十分条件を導出した。さらに、目的関数をCobb=Douglas効用関数に特定化することで数値解を求める得るモデルへ発展させた。さらに、このモデルに混合整数計画法を援用することで、パラメータを変えてシュミュレーションを行い、playerの数が少なくなるほど、さらに、各playerのパラメータの小さくなるほど2つの公共財を同時に提供するプレーヤーの出現率が高くなることを解明した。学術誌にSuzuki & Miyakoshi, et.al.(2020)論文として投稿した。これらのモデルは実証分析を行う上で必要不可欠の手段である。 Cネットワーク理論班(島田・宮越・佃)は、研究目的(II)の理論で、統一経済圏を表現する金融ネットワークモデルを構築して、これをアジア諸国に適用した実証分析を行い、Miyakoshi & Shimada(2020)論文として学術誌に投稿した。さらに、アジア金融センター国の理論を構築しその国を特定化する手法を開発し具体的にシンガポールがセンター国であることを解明し、それはMiyakoshi, Shimada and Li (2020)論文としWEAI Conference(Jun. 2020)等で報告され、その後、学術誌に投稿した。 D実証・政策班(島田・佃・日置)は、これらのモデルを用いた実証・政策評価分析としてShimada, Miyakoshi & Tsukuda(2021) 論文の再改訂を行い、同論文はJapan and the World Economyに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症(Covid-19)流行に伴い、研究活動のみならず大学の業務全般、ひいては社会そのものの活動が大きく変容を迫られる事態に直面した。本事業においても当初予定していたシンポジウムの開催や学会発表のみならず通常の研究活動にも支障をきたすことが多くなり、研究の進行や取りまとめに遅れが生じた。 難しい状況の中で可能な範囲で研究活動の継続を模索し、オンラインで研究打ち合わせや研究発表を行い、得られたフィードバックに基づいてSuzuki & Miyakoshi, et.al.(2020)論文、Miyakoshi & Shimada(2020)論文、Miyakoshi, Shimada and Li (2020)論文などの執筆や改訂の作業続けた。また、これらの研究を発展させた新しい論文執筆の準備に取り組んだ。 以上、過去に例のない未曽有の事態の中で可能な範囲で研究活動を継続したものの、研究成果としては査読付学術誌からの論文刊行は2本にとどまったため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症(Covid-19)の流行という過去に類を見ない事態のため、その対策と今後の研究の展開については不透明な部分が多々ある。しかし、可能な範囲で研究事業を継続し、当初の目的が達成できるよう努める。 A現状認識班(島田・趙・日置)は引き続き中国経済と金融に関する情報を集め、事例研究の蓄積を行う。B公共財理論班(趙・宮越)はこれまでの成果を踏まえ、資金の提供国、公共財の提供国・フリーライダー国、便益の受益国という3者の利害関係を解明できる2公共財モデルの特徴や性質を分析する。Cネットワーク理論班(島田・宮越・佃)は金融ネットワークに対して点として金融市場を定め、線として各国金融市場間の連結性を想定した金融ネットワークモデルを用いて、金融ネットワークの特徴と安定性について理論分析を行う。D実証・政策班(島田・佃・日置)はこれらのモデルを用いて政策評価のための実証分析を行う。構築したモデルに対して、アジア金融市場のデータを用いて金融システムの安定のための条件やセンター国の特定を行う。 これらのテーマについて、研究代表者と研究分担者は日常的な打合せやメール交換を通じて研究討議を行う。ある程度形のまとまった研究については、国内の学会やセミナー等で報告を行い、多くの外部研究者による批判・コメントを受けながら論文の改良に取り組み、学術誌への投稿や改訂を行う。新型コロナ感染症がある程度収束し状況が許すならば再びシンポジウムを開催し、研究ネットワークのさらなる発展と研究の深化を目指す。
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Research Products
(4 results)