2019 Fiscal Year Annual Research Report
地方自治体の雇用政策の効果と雇用政策の分権化の有効性に関する調査研究
Project/Area Number |
18H00860
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 玲子 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (10375355)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 女性就労 / 障害者就労 / 自治体就労支援策 / ニーズ評価 / インパクト評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、わが国の基礎自治体による特定集団に対する雇用政策の実態と効果を実証的に明らかにし、雇用政策の分権化の有効性をエビデンスに基づいて評価することである。今年度は主に基礎自治体による女性就労支援策立案のためのニーズ評価並びに障害者就労支援策の実態及び効果を詳細に把握し、基礎自治体による女性活躍支援策及び障害者就労支援策をエビデンスに基づいて評価するための基礎的資料を得ることを目指した。 女性就労に関する研究では、日本の中核市による最新の男女共同参画計画とそこで参照されている住民意識調査に関する資料をインターネットで収集してデータベースを構築し、地方自治体の計画策定においてデータのバイアスを考慮したニーズ調査やニーズ評価が行われているかを調べた。その結果、男女共同参画分野の住民意識調査では回答者の性や年齢階層によって回答に大きな違いが生じるため注意して分析する必要があるにも関わらず、多くの地方自治体が政策の標的集団を代表しているとはいえないデータに基づいて住民ニーズを把握し、計画を策定していることが分かった。 障害者就労に関する研究では、一般指標デザインに基づく差の差法を用いて、日本の基礎自治体による障害者就労支援策が地域の障害者就業率に与える影響を定量評価した。具体的には、岡山県総社市「障がい者千人雇用事業」が地域の障害者就業率及び障害者就労者に占める一般就労者割合に与えた影響を推計した。その結果、同事業は地域の障害者就業率及び障害者就労者に占める一般就労者割合に対して正のインパクトを有していたことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していたフィールド調査は断念せざるを得なかったが、その代わりに電話や電子メールで調査を行い、必要なデータを入手することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響により、フィールド調査やフィールド実験の実施が引き続き難しい可能性が高いと予想される。その中でも当初計画していたような有用な研究成果を得られるようにするため、必要に応じて現地でのフィールド調査ではなくオンライン調査で代替する等の措置を講じていきたい。
|