2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evidence Based Analysis of Long-Term Care Policy
Project/Area Number |
18H00861
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 敏晃 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00406810)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護 / 費用対効果 / ケアマネジャー / 垂直統合 / エージェンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、わが国の公的介護費用は劇的に増加し、過去5年の伸び率は26%と、国民医療費のそれ(13%)を大きく上回り、2025年には約20兆円に達するとされる。本研究では、効率的な介護提供体制の実現に向けて、二つの実証研究に取り組む。第一に、介護予防サービスの費用と効果を定量的に分析する。介護予防サービスは、高齢者が介護を必要とせず自立した生活を送れるよう、早期の予防策を打つことを目的とするが、その費用対効果は明らかではない。第二に、わが国では、同一事業者がケアマネジメントと介護サービスを実施することができるが、これらの垂直統合が介護費用と介護のアウトカムに及ぼす影響を分析する。
本年度は、まず、実証分析に必要となるデータの取得並びにデータ構築に着手した。介護予防サービスの費用と効果の検証を行う際に特に重要なデータとしては、介護レセプトデータと要介護認定の情報があげられる。これらについて、自治体Aよりデータの提供を受け、分析に利用できるようにデータ構築を行った。次に、予備的な分析として、要介護度、介護費用、介護のアウトカム等の関係を記述統計として整理した。更に、基礎的な計量モデルの推計を行った。具体的には、要介護認定の閾値を用い、閾値のわずか前と後では利用者の介護必要度には大きな違いがないが、実際の介護サービスの利用には影響が出うることを利用した分析を行った。具体的には、要介護度が閾値より若干高く判定された利用者と、低く判定された利用者を比較し、追加的介護費用がどの程度生じるか、また、介護のアウトカムに差異が生じるかについて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず、実証分析に必要となるデータの取得並びにデータ構築に着手した。介護予防サービスの費用と効果の検証を行う際に特に重要なデータとしては、介護レセプトデータと要介護認定の情報があげられる。これらについて、自治体Aよりデータの提供を受け、分析に利用できるようにデータ構築を行った。次に、予備的な分析として、要介護度、介護費用、介護のアウトカム等の関係を記述統計として整理した。更に、基礎的な計量モデルの推計を行った。具体的には、要介護認定の閾値を用い、閾値のわずか前と後では利用者の介護必要度には大きな違いがないが、実際の介護サービスの利用には影響が出うることを利用した分析を行った。具体的には、要介護度が閾値より若干高く判定された利用者と、低く判定された利用者を比較し、追加的介護費用がどの程度生じるか、また、介護のアウトカムに差異が生じるかについて分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も効率的な介護提供体制の実現に向けた実証研究に取り組む。第一に、介護予防サービスの費用と効果を定量的に分析する。第二に、ケアマネジメントと介護サービスの垂直統合が介護費用と介護のアウトカムに及ぼす影響を分析する。第三に、近年、介護ロボットの利活用に向けて、国や地方自治体による介護ロボットの導入支援がなされていることを受けて、介護ロボットが介護の労働生産性に及ぼす影響を分析する。
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