2020 Fiscal Year Annual Research Report
租税に対する政策選好:納税意識と税制改正の影響に関する計量分析
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18H00868
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
玉岡 雅之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90197559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 晃弘 東洋大学, 経済学部, 教授 (10453854)
横山 直子 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319891)
宮崎 智視 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (20410673)
中澤 克佳 東洋大学, 経済学部, 教授 (20453855)
大野 裕之 東洋大学, 経済学部, 教授 (50285459)
亀田 啓悟 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80286608)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 納税意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度から延長した2022年度にかけては、複数回のアンケート調査を行った。納税意識についてもすべての年度について質問を行い、パネルデータを構築した。その結果、一貫して日本人の納税意識は高いとの結果が得られた。一方でWorld Valus Surveyほどは高くないことが示されており、記述統計レベルではあるが、その要因としては政治への信頼が低いことが根拠ではないかとの含意を得た。 政府による新型コロナウイルス対策を踏まえ、実際になされた政策や、一時的に検討された消費税減税の可否についてもアンケートを行うなど、テーマの範囲で最新の情報を取り入れた分析も試みた。「望ましい」消費税率や、財政再建の可否、さらにはいわゆるユニバーサル・ベーシックインカムの導入についても、回答者を財政に関する情報を先に与えたグループと後に与えたグループにわけて分析を試みた。結果、財政に関する情報を与えた場合には「望ましい」消費税率が大きくなるなど、財政に関する知識が人々にいきわたることが財政再建の理解を得るためには必要との含意を得た。 成果については、2021年度の日本財政学会で企画セッションを組み、研究成果の報告と研究をブラッシュアップする機会として活用した。具体的には、計量分析について工夫が必要であることや、政策的含意について深めるようにとの示唆を得た。2022年には、Springer社から一連のアンケートの結果を公刊するに至った。なお、同社から著書を刊行する際には査読が必要であるため、今回の公刊はレフェリーの審査を経たものであることを付言したい。 2022年度には、これまでの研究成果の集大成として、神戸大学においてハイブリッドで「日本の税・財政に関するカンファレンス」を開催した。カンファレンスでは、後述するように分析手法を洗練させることのほか、歴史的な背景にまで踏み込むべきとの意見が出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本財政学会での企画セッション開催、Springer社からの著書公刊、およびハイブリッドでの研究集会の開催など、これまでの成果は順調に公表されていると考えられる。関連研究をはじめ、延長した間でも学会報告や論文の公刊はなされている。
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Strategy for Future Research Activity |
「日本の税・財政に関するカンファレンス」では、歴史的な背景にまで踏み込んで日本人の納税意識についてさらに研究を進めることや、AIなどの進展を踏まえ、新しい分析手法を用いた研究を行うべきとの方向性が議論された。 得られたアンケートを基に計量分析を深め、査読付きの学術雑誌への掲載を目指すべきと考えられる。
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Research Products
(3 results)