2019 Fiscal Year Annual Research Report
Geographical Broadening of Local Financial Institutions in 19-20th century Japan
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18H00875
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 庸平 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (80635334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済史 / 金融史 / 産業組合 / 全国農業協同組合中央会 / インターリンケージ取引 / 地主 / 貸金業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、4月に東御市にて調査を実施し、深井家史料の概要把握を完了した。これを利用して、①深井家の地主経営と貸金業経営をインターリンケージ取引の観点から分析した論文と、②深井功が組合長を務めた和産業組合における信用審査に関する検討を単著の一部として研究代表者の小島が公開した。また、研究分担者の田中光は、深井家文書・和産業組合文書から得られた知見も踏まえて、協同組合の発展経路とその役割について、日本とドイツの二国間比較を行った。 さらに、小島は、全国農業協同組合中央会(全中)の図書資料センター所蔵史料の廃棄問題を契機として全中史料の本格的な検討を始め、協同組合金融機関の広域化に関する本格的な検討を行うための基盤を固めた。 しかしながら、2020年冬から感染が拡大した新型コロナウイルス感染症のために、当初は年明けに予定していた東御市の調査が実施できず、目録の完成に必要な最終確認を行うことができなかった。そのため、目録の刊行を繰り延べざるをえず、課題を残すことになった。次年度以降、感染の収束が実現され次第、可及的速やかに目録の完成・公刊を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、当初予定していた調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
深井家に残された諸史料のうち、家の経営文書や、和産業組合に関する文書の検討については、これまで一定程度深めることができた。今後は、深井功が長く会長を務めた長野県信用組合連合会関連の史料の本格的検討に移りたい。また、深井家に伝来した牧野家文書には、小諸銀行関連史料も含まれており、その検討も課題である。さらに、深井家の土蔵2階に残されていた明治期におけるインフォーマルな金融機関についても、史料整理がおおよそ完了しており、これをさらに検討する必要がある。今年度予定されていた深井家史料目録の公刊が喫緊の課題であることは言うまでもない。次年度以降、史料の利用体制を完全に整備し、本格的な分析・研究の段階に入る予定である。
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