2019 Fiscal Year Annual Research Report
理系女性研究者の出産・育児と多様なキャリアの形成に関する縦断研究
Project/Area Number |
18H00900
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤本 哲史 同志社大学, 政策学部, 教授 (50278313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 克利 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 准教授 (20612914)
富田 真紀子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (40587565)
加藤 容子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (80362218)
篠原 さやか 九州女子大学, 共通教育機構, 准教授 (90618224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 理系女性 / キャリア形成 / キャリアパス / ライフイベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女性研究者の多様なキャリアの形成と社会の各分野における活躍を促進する要因を明らかにすることにある。特に、女性研究者は結婚・妊娠・出産などのライフイベントを含む長期的なキャリアをどのように展望しキャリアパスを選択するかに焦点をあてる。 2019年度は以下の3点を中心に研究を進めた。①本年度のインタビュー調査の進め方を研究チームで検討し、7月から12月の6か月間で計11名の理系女性に対して聞き取り調査を実施した(地域:関東4件、東海2件、関西4件、東北1件、職種:出版社編集者1名、高校教員1名、水族館員(教育プログラム担当)1名、イラストレーター1名、保育園副園長1名、民間企業研究・開発技術者1名、大学特任研究員2名、URA1名、大学教員2名)。②2020年度に向けてインタビュー調査の候補者の探索を進め、暫定的に3名の調査協力者を確保した。③2016年度および2018年度に実施したオンライン・アンケート調査のデータを用いて、女性技術者の職場における両面価値的性差別と職務意識に関する分析、および女性研究者・技術者のワーク・ファミリー・コンフリクトに関する分析を進め、その結果を論文として取り纏め複数の国際学会および国内学会で研究報告を行った。学会発表は以下を含む計5本である。 Fujimoto, Tetsushi, & Xia, Shiming. Ambivalent Sexism in the Workplace and Work Attitudes of Japanese Women in Engineering. 2019 Annual Meeting of the American Sociological Association (New York, New York) August 11, 2019.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は11人の理系女性に聞き取り調査を実施し、その結果をもとに本研究の今後の方向性を検討することができた。特に、アカデミアの女性研究者だけではなく、編集者、高校教員、水族館員、デザイナー、保育園経営者など、幅広い職業の理系女性に対して調査を実施することが出来た点は重要である。今後も可能な限りノンアカデミック・キャリアを歩む理系女性の協力を確保することで、アカデミアで研究キャリアを形成する理系女性との比較を実現させていきたい。(ただし、新型コロナウィルスの感染拡大により、聞き取り調査は確実に影響を受けると考えられるため、2020年度の調査展開には懸念される点が多い。)今年度の聞き取り調査の結果から、2020年度内に実施を予定しているアンケート調査の方向性が見え始めているが、聞き取り調査から明らかになった事柄のアンケート調査項目への落し込みは慎重に行う必要があるため、研究チームで十分な検討を行う予定である。さらに、過年度に実施したオンライン調査のデータを用いて解析を継続することにより、女性研究者・技術者のキャリア形成に関する研究を深化することできた。特に、職場風土の影響に着目することにより、キャリア形成の過程における心理的課題が理系女性の職場の構造的な要因と関連する可能性を見出すことができた点は今後の研究活動の方向性を探るうえでプラスになったといえる。これらの点は今後の分析を促進すると思われる。また、研究成果の学会発表を継続的に行っており、情報発信も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、2019年度は11名の理系女性に対してインタビュー調査を実施したが、その結果を精査しつつ、今後も聞き取りを継続していく。ノンアカデミック・キャリアを歩む協力者を確保することは容易ではないが、今年度の協力者や過去のインフォーマントとのラポールを形成しつつスノーボール式にインタビュー対象者の範囲を拡大することを目指す。また、2020年度は過去の調査対象者に対する追跡調査も予定しており、この数年間で生じた生活および職業上の変化を中心に、今後のキャリア展望やワーク・ライフ・バランスの課題と関連付けながら情報収集を行う。特に、調査協力者の一部に出産や転職・離職等の変化が生じている可能性があるため、それらの経験がどのように彼女らの意識や行動に影響をおよぼしているかに焦点をあて聞き取りを行う。さらに、過去のオンライン調査のデータを用いた分析を行い、成果発表を継続的に行う。2019年12月までに、以下の2本の論文が国際学会での発表に採択されていたが、いずれの学会も新型コロナウィルスの感染拡大により開催が2021年7月まで延期されている。ただし、研究発表については採択確約の通知を受けている。33rd Annual Meeting of Association of Japanese Studies、米国フロリダ州・マイアミ、論題 “Gender diversity in STEM workforce in Japan.” Network Gender & STEM Conference 2020、オーストラリア・シドニー、論題“Gender differences in work-family conflict and work-family enrichment for STEM Researchers and engineers in Japan.”
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Research Products
(6 results)