2020 Fiscal Year Annual Research Report
Developing Sustainability Accounting for Mature Socio-Economies Drawing upon Applied Institutional Mechanism Design and Social Philosophy
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18H00914
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 智英 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50813648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 辰義 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 特任教授 (20205628)
國部 克彦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
大鹿 智基 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90329160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成熟経済社会 / 付加価値の適正分配政策 / 持続可能な発展 / 新しい資本主義 / DS経営 / Well-being / 四半期開示制度 / 付加価値分配計算書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は主として日本などの成熟経済社会のサステナビリティのための研究である。発展途上国にくらべ先進国のサステナビリティ研究は国際的にも殆ど例を見ない。急激な人口減少はもとより、多くの分野で完全競争や需要飽和に近い状態が続き、生活レベルが既に高い状態でも有効に機能しうる「動機づけ制度」は何か、従来の「損益計算書」や「利益」に代わる経営指標やフォーマットを考案し、成熟経済社会のサステナビリティに寄与しうるか研究を進めている。
かつて希少資源であった「資本」は余剰しており、新たに希少資源として注目されているのは「士気の高い労働」である。特に将来の従業員としての学生の意識改革が必要であると考え、上位大学生の就職活動が個人の生活の充足を促進するとともに経済社会の活性化につながるような財務諸表(付加価値分配計算書:Distribution Statement)を開発し、紙/オンラインベースで、実験・シミュレーションを重ねている。
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、当初予定されていた実験手法(多くの被験者を長時間同じ部屋に手作業させる必要があった)が不能となったため、代替的な実験・シミュレーション手法を考案し実施した。途中経過は順調で、国連関連機関や関西経済連合会のカンファレンスや、日経ビジネスやWedge誌における特集で取り上げられ、注目を集めている。今後はこれをWebベースのシミュレーター化し、一層のデータの収集と、市民社会レベルでの周知を図る所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初損益計算書を代替する理論的にも実務的にも導入可能な財務諸表の開発は困難を極めるものと想定していたが、提案した付加価値分配計算書が関係各位に好意的に受け入れられ、大量の財務諸表データを利用したコンピュータ支援シミュレーションの結果も良好である。このまま研究が進めば、政策として実装可能な新しい経済経営手法として政府へ提案することが可能な見込みである。
コロナ禍の影響で共同研究者らとの交流が効率的に進まないことから、個々に推進できる方法に切り替え、研究を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションによる実装可能性に関する知見の蓄積を進めつつ、主要経済団体(経団連・関経連・連合等)におけるプレゼンテーションを進め、更に実装に向けての批判的検討を進める。同時に、与党議員や関係省庁の官僚と情報共有を進め、最終的には成長戦略や「骨太の方針」への記載を目指す。
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Research Products
(5 results)