2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on the Climate Change and the Energy Policy in East Asia
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18H00919
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 公一 東北大学, 文学研究科, 教授 (00164814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多川 進 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00313784)
池田 和弘 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (20590813)
野澤 淳史 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 学術研究員 (30758503)
佐藤 圭一 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40757093)
中澤 高師 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50723433)
平尾 桂子 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70158335)
中川 恵 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (70781160)
明日香 壽川 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90291955)
TRENCHER GREGORY 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90802108)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気候変動 / 国際比較研究 / 政策決定過程 / 政策ネットワーク / エネルギー政策 / メディア分析 / パリ協定 / 脱炭素社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動政策とエネルギー政策について包括的な情報収集に努め、気候変動枠組条約事務局、IEA(国際エネルギー機関)、IAEA(国際原子力機関)、OECDなどが発表してきた関連データを整理し、中国・韓国・台湾の連携協力者と協力しながら、関係問題の年表作成・主体連関図・政策ネットワーク図の作成を続けている。 1)中央政府の政策に影響を及ぼしうる団体の代表者に対して半構造的な聴取調査を行い、2)テキストデータ分析ソフトを用いて、聴き取り調査データのコード化をはかる。3)政策的な主張と影響力の大きさを考慮し、キープレイヤーのネットワーク図を編成する。4)気候変動政策を主管する環境省と経済官庁、政府と与野党、環境NGO、業界団体、メディアなどのステイクホルダー的な諸勢力、4ヶ国それぞれの国内的ファクター、IPCCの調査報告書、温暖化防止国際会議(COP) などの国際的な動向、排出権取引市場の動き、福島原発事故などの国際的なファクターがどのように連関して、影響力行使の場を規定したのか 、政治的機会構造と気候変動にかかわるフレーミングに着目して比較分析を行うための前段として、2年度は、宮城県と仙台市で行ったプリテストをふまえ、全都道府県、政令指定都市・地方中核都市・23区の計175の地方公共団体の首長および担当部局を対象に地方公共団体の気候変動政策に関する質問紙調査を実施し、回収票の結果の分析を進めている。2009年から12年にかけての聴き取り調査結果と対比することによって、パリ協定以後、地方公共団体とその首長の施策がどのように変化したのか、2030年目標の計画・2050年目標の具体的な削減計画の有無をはじめとする地方公共団体ごとの対策の積極性・消極性を規定する社会的諸要因の分析に注力している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年10月にソウル大学で開催された第7回東アジア環境社会学シンポジウムの折に、韓国・台湾の研究協力者と研究会を開催し、研究交流と意見交換を行った。輸入石油への依存率の高さ、資本あたりのエネルギー消費率の高さ、再生可能エネルギーへの依存率の低さ、原発推進派の根強い抵抗など、日中を含む4ヶ国が直面する問題状況の共通性と相違点が明確になった。2012年以降、日本で新たに計画決定された計50基の石炭火力発電所建設計画のうち、2020年3月末までに計15基の計画が中止もしくは木質バイオマス専焼などに燃料転換した。仙台や神戸・横須賀で提訴が重なったことにともなう日本における石炭火力発電所の訴訟リスクの顕在化の影響も注目される。しかしなお日本政府は、原発と石炭火力発電をべース電源として重視する政策に固執している。トレンチャーを中心に、日本の商社各社がなぜ石炭火力発電に固執するのか、資料の分析や聴取調査を重ねて投稿した、長谷川・明日香を含む連名の英語論文は査読を経て、海外の専門誌への掲載が決定した。太陽光発電と農業の両立をはかるソーラーシェアリングや木質バイオマスを始めとした地産地消型の再生可能エネルギーの利活用によって、里山や中山間地域の活性化をめざす動きも全国的に加速化している。沖縄・高知・長野・宮城県での最新の動きを現地調査し、進展状況や課題・行政との関係などについて情報収集を行った。宮城県と仙台市で行ったプリテストをふまえ、全都道府県、政令指定都市・地方中核都市・23区の計175の地方公共団体の首長および担当部局を対象に地方公共団体のの気候変動政策に関する質問紙調査の結果の分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
グローバルなレベルの分析は、初年度・2年度に引き続き、気候変動政策とエネルギー政策についての包括的な情報収集を行い、気候変動枠組条約事務局、IEA(国際 エネルギー機関)、IAEA(国際原子力機関)、OECDなどが発表してきた最新の関連データを整理する。ナショナルなレべルでの分析は、 中国・韓国・台湾の連携協力者と協力しながら、関係問題の年表作成・主体連関図・政策ネットワーク図の作成を続けるとともに、気候変動政策ネットワークの国際比較分析データの2次分析を進める。ローカルなレべルでは地方公共団体の気候変動政策に関する質問紙調査の結果の分析を進める。また初年度・2年度に引き続き、ローカルな紛争の展開過程のそれぞれの特質の考察を進めるために、各国の連携研究者・研究協力者と協力し、1)中央政府の政策に影響を及ぼしうる団体の代表者に対して半構造的な聴取調査を行い、2)テキストデータ分析ソフトを用いて、聴き取り調査データのコード化をはかる。3)政策的な主張と影響力の大きさを考慮し、キープレイヤーのネットワーク図を編成する。4)気候変動政策を主管する環境省と経済官庁、政府と与野党、環境NGO、業界団体、メディアなどのステイクホルダー的な諸勢力、4ヶ国それぞれの国内的ファクター、IPCCの調査報告書、温暖化防止国際会議(COP) などの国際的な動向、排出権取引市場の動き、福島原発事故などの国際的なファクターがどのように連関して、影響力行使の場を規定したのか 、政治的機会構造と気候変動にかかわるフレーミングに着目して比較分析を行う。5)とくに抵抗勢力・反対勢力との相互作用に着目する。6)あわせて、上記のグローバルなレべル、ナショナルなレべルでの政策との整合性、相互的な影響関係を比較検討する。
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[Book] 社会学 新版2019
Author(s)
長谷川公一・浜日出夫・藤村正之・町村敬志
Total Pages
582
Publisher
有斐閣
ISBN
978-4-641-05389-2
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