2018 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト新自由主義時代の社会運動が提唱する「もう一つの世界」に関する国際共同研究
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18H00921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20534382)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会運動 / グローバリゼーション / ポスト新自由主義 / もう一つの世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「もう一つの世界」を追求する社会運動の多様性を比較検討することによって、これらの運動が提唱する新しい価値観に基づく「ポスト新自由主義時代」の社会とはどのようなものなのか、その可能性と限界はどこにあるのかを探求することである。研究計画は、(1)全世界の社会運動の多様性や潮流を把握するための量的データ解析と、(2)世界各地域の社会運動研究の質的比較事例研究とを組み合わせたものである。また、グローバル化に対抗する社会運動の地域的・社会階層的・戦略的・思想的な多様性を包括的に理解するために様々な地域の専門家が参加する国際共同研究である。 H30年度は、研究立ち上げワークショップと全体のワークショップを実施することによって参加者が一堂に会する機会を設ける予定であったが、これらの大規模な会合を実施する代わりに、一部の各参加者と個別に打ち合わせをする機会を設ける形で共同研究を進展させた。 まず、H30年9月末に、東京、日光、裏磐梯にてワークショップを開催した。若手を含め、主にアジアとラテンアメリカ地域を研究対象とする研究者が集まり、それぞれの研究テーマについての報告を行った。H30年11月には、スイスで開催された質的比較分析手法の国際ワークショップに若手研究者を派遣し、国際共同研究のネットワークを構築すると同時に、分析手法を洗練させることに努めた。H30年12月には、若手研究者を集めた研究報告ワークショップを実施し、今後の研究を進める上での情報交換とネットワークづくりに努めた。R1年9月にはアメリカのカリフォルニア大学アーバイン校における研究調査を実施し、北米や南米を研究対象とする研究者との間でワークショップ等を実施した。 上記のワークショップや研究会に加えて、研究者を招いた講演会を東京大学にて3回実施し、本プロジェクトを前進させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予期しないことが起きたが、最終的に当初掲げた研究計画をおおむね実施して本研究を前に進めることができたからである。 まず、H30年に急遽来日できなくなった研究者がいたために、繰越をして研究を実施することにした。また、R2年3月に実施すべく準備していたワークショップが新型コロナウイルスの流行により急遽断念せざるを得ない事態となった。このような状況に見舞われたものの、全員が一堂に集う機会を準備するだけでなく、これと並行して、それぞれの参加者の都合に合わせる形で個別に研究会やワークショップを行う機会を何度も設けることによって、実質的に共同研究全体をほぼ順調に進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの世界的な流行が起きていることを踏まえ、対面型の国際共同研究を実施することが難しくなっている。ZOOMなどをを用いた仮想空間での打ち合わせや研究報告を中心にして共同研究を進めていく。とくにR2年度に関しては、質的調査を行うこと自体が難しくなることも想定されるが、その場合は、量的調査に重点を置き、本研究の量的分析分野を予定よりも早く進展させる。それによって、コロナウイルスの世界的流行が収束した後に、質的調査研究に資源を重点的に投入できる体制を整えることができる。
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