2019 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト新自由主義時代の社会運動が提唱する「もう一つの世界」に関する国際共同研究
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18H00921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20534382)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会運動 / グローバリゼーション / ポスト新自由主義 / もう一つの世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「もう一つの世界」を追求する社会運動の多様性を比較検討することによって、これらの運動が提唱する新しい価値観に基づく「ポスト新自由主義時代」の社会とはどのようなものなのか、その可能性と限界はどこにあるのかを探求することである。研究計画は、(1)全世界の社会運動の多様性や潮流を把握するための量的データ解析と、(2)世界各地域の社会運動研究の質的比較事例研究とを組み合わせたものである。また、グローバル化に対抗する社会運動の地域的・社会階層的・戦略的・思想的な多様性を包括的に理解するために様々な地域の専門家が参加する国際共同研究である。 2019年度は、9月にアメリカのカリフォルニア大学アーバイン校のPeltason Center for the Study of Democracy (CSD)において研究調査を実施し、北米や南米を研究対象とする研究者との間でワークショップ等を実施した。とくに、右翼・保守主義・原理主義運動を担当する研究チームCのリーダーであるEdwin Amenta教授とともに、理論的な枠組みを洗練させる作業を実施した。また、CSDの客員教授らとともに、研究チームD(Global South からの挑戦)のプロジェクトを進展させた。 また、欧米等から十数名の専門家を東京大学に集めて、研究チームA(グローバル化する世界と社会運動の量的分析)主体のワークショップを2020年3月に開催すべく準備していたが、新型コロナの流行のため直前でキャンセルせざるを得なかった。このため、2020年度は、研究チームAのリモート会議を5月に実施するなど、ラテンアメリカ地域を中心とする社会運動の量的分析プロジェクトを前進させることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの流行と、それに伴う海外渡航の中止という当初予期しないことが起きたが、最終的に研究計画をおおむね実施して本研究を前に進めることができたからである。2020年3月に実施すべく準備していた研究チームAのワークショップを新型コロナウイルスの流行により急遽断念せざるを得ない事態となった。このような状況に見舞われたものの、2020年5月に研究チームAの研究をリモート会議システムを用いて代替するなど、実質的に共同研究全体をほぼ順調に進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの世界的な流行がいつまで続くのかが見通せないため、当初想定していた対面型の国際共同研究を企画することが難しくなっている。ZOOMなどをを用いた仮想空間での打ち合わせや研究報告を中心にして共同研究を進めていく。とくに、インタビュー調査などの質的調査方法を用いた事例研究を実施すること自体が難しい状態であることから、2021年度は研究チームAを中心とする量的調査に重点を置き、本研究の量的分析分野を予定よりも早く進展させる。それによって、コロナウイルスの世界的流行が収束した後に、質的調査研究に資源を重点的に投入できる体制を整えることができる。
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Research Products
(12 results)