2018 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparative Survey on Eldercare Service outside the Public System
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18H00942
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山井 弥生 (斉藤弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40263347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 暢 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20273740)
森川 美絵 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (40325999)
佐藤 桃子 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (10792971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者介護 / 国際比較 / ドイツ / スウェーデン / 在宅介護サービス / ウェルフェアテクノロジー / ケア論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年以降に高齢者介護の市場化が進み、高齢者人口の増加に伴い 効率的な財政運営が求められる中で、多くの国々で制度「外」介護といえる現象がみられるようになった。制度「外」介護とは、正式な学術用語ではないが、本研究では介護保険制度や租税による公的な介護制度の枠外で行われる新たな介護形態を指すこととしたい。例えば日本では介護保険施設ではなく、ハウジングコストは完全に自費購入となるサービス付き高齢者向け住宅が増設されている。スウェーデンでは在住外国人の雇用政策の一環として、家事サービス産業の育成が行われ、掃除や調理などの自費購入を促進する税制が導入され、公的ホームヘルプと一部で競合する現象が起きている。またドイツではポーランドなどの近隣諸国より24時間の住み込み家政婦を自費で雇用するケースが増加しており、制度の「外」で提供される介護サービスを利用する高齢者数は増えており、今後も増加が見込まれる。 このような背景のなか、本研究の目的は次の2点である。第一に、異なる福祉レジームを持つ日本、ドイツ、スウェーデンにおける高齢者介護の動向について、制度「外」介護という観点から調査し分析することである(実態調査)。第二に、制度「外」介護の拡大という文脈の中で、ケア論がどのように展開しているかを明らかにし、ケア論研究の発展に資することである。 2018年度(1年目)は主に海外研究協力者との連携により、2019年度(2年目)に行う現地調査の計画を立てることを重視した。またそれぞれの研究者は介護をめぐる理論的研究のレビューを行い、それぞれの分担領域の研究を進めた。さらに国際学会での研究報告の採択を目指し、2件の研究報告が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究実施計画と実績は次のとおりである。 (1)対人社会サービス論、介護労働論、介護テクノロジー論について先行研究を整理する。→分担研究者は年3回の研究会を通じて、研究報告を行い、意見交換を行うとともに進捗状況を確認した。 (2)ドイツ(デュッセルドルフ)、北欧(ストックホルム・コペンハーゲン)の高齢者介護制度の最新情報を収集する。→研究代表者は2018年7月にISTR(アムステルダム)に参加し、介護NPOに関する最新の研究について情報収集を行った。また2019年3月にデュッセルドルフ(デュッセルドルフ大学)に滞在し、介護保険制度改革についてのヒアリング調査、介護事業者へのインタビュー、家族介護者へのインタビューを実施した。 (3)海外研究協力者を招聘し、公開研究会を開催する。→2018年9月に大阪大学東京オフィスにおいて、ヴィクトール・ペストフ氏、ヨハン・バムスタッド氏を招聘し、協同組合による介護事業者とともに国際セミナーを開催し、研究報告と情報交流を行った。 (4)各国の各海外共同研究者と調査計画をたてる。→ 2019年度にバーバラ・クライン教授(フランクフルト応用化学大学)、島田信吾教授(デュッセルドルフ大学)、ヨハン・バムスタッド教授(エーシュタ・シュンダール・ブレッケ大学)の招へい計画と日本での調査計画を立てた。 (5)2019年開催予定の国際学会transforming care(コペンハーゲン)での研究報告に向けた準備を行う。→研究代表者の斉藤と分担研究者の森川は報告要旨を提出し、2019年大会の研究発表の採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2019年5月にコペンハーゲンで開催されるTransforming Care国際学会において、研究代表者の斉藤と分担研究者の森川が研究報告を行う機会を得ており、これを確実に研究成果としていく。(2)また海外研究協力者3名を招聘し、日本国内で調査を行うとともに、研究成果の一部を国際セミナーの形で発信する。(3)デュッセルドルフ(ドイツ)とストックホルム(スウェーデン)で在宅介護の最新動向の調査を行う計画であり、準備を進めている。
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Research Products
(14 results)