2019 Fiscal Year Annual Research Report
The construction of the Foster family support model to prevent the cancellation of placement
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18H00948
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10389702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 啓示 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (20804470)
石田 賀奈子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50551850)
千賀 則史 名古屋大学, ハラスメント相談センター, 准教授 (70803782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 里親 / 里親不調 / 里親支援 / フォスタリング / 家庭養護 / 社会的養護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月、A自治体のフォスタリング機関(2ヶ所)の協力を得て、3年以内の里親不調による委託解除事例を15事例収集し、4月~9月にかけて分析を行った。事例は「里親による虐待事例」8事例と「子どもの特性による養育困難事例」7事例に分けて分析した。その結果、どの事例にも共通して「委託後の訪問支援の不足」「里親からの初回相談への迅速な対応の欠如」がその後の不調・委託解除につながっていることが明らかになった。ただ、児童相談所もフォスタリング機関も慢性的な人員不足を抱えており、そのことが迅速かつ適切な対応を不可能にしている現状もうかがえた。 2019年5月、スコットランドに渡航し、スコットランドの里親支援ソーシャルワーク、里親不調ケースへの対応などについて現地ヒアリングを行った。また、里親委託をはじめとする社会的養護当事者への自立支援について、大学教員、民間機関スタッフにヒアリング調査を実施した。その結果、ワーカーの担当ケース数は5世帯であること、レスパイトケアの利用頻度が日本よりも格段に多いこと等が明らかになった。 A自治体における里親不調事例分析結果と、スコットランドの里親支援ソーシャルワークに関する現地視察とヒアリング調査から、以下の必要性が示唆された。(1)フォスタリングを担うソーシャルワーカーの担当ケース数のコントロールの必要性、(2)里親委託後の定期的かつこまめな訪問支援の重要性、(3)レスパイトケアの効果的な活用の重要性、(4)養育里親の豊富なレパートリーの必要性(子どものニーズにあわせる、レスパイト受け入れ先等として)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
里親不調に関する事例分析を順調に進めている。事例分析結果を次年度の大規模なアンケート調査項目に反映させることが可能である。 また、海外における里親支援ソーシャルワークに関する文献レビューと現地視察ヒアリング調査を計画通りに実行できたことに加え、本研究課題を基課題として国際共同研究強化(A)が採択されたため、今後、さらなる研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)全国の児童相談所を対象とした里親不調事例に関するアンケート調査を実施予定である。全国の各自治体における里親不調事例数の推移とその背景にあるもの、必要な対策や施策などについて調査結果から検証する。 2)日本の社会的養護の現状と共通点が多く、かつ施設の小規模化と地域分散化、家庭養護の推進が進んでいるスコットランドをフィールドとしたインタビュー調査を実施する。 3)フォスタリング機関のワーカーを対象とした、里親不調になりそうなケースに対する予防的支援の実際についてインタビュー調査および事例分析を行う。
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Research Products
(4 results)