2019 Fiscal Year Annual Research Report
認知症が疑われる高齢者に対する受診・受療援助に関する実践モデルの開発
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18H00949
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
竹本 与志人 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70510080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 医療機関 / 地域包括支援センター / 鑑別診断 / 受診 / 連携担当者 / ソーシャルワーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症専門医療機関と連携を行っている地域包括支援センター(以下,包括)の専門職を対象とし,認知症の鑑別診断時における認知症専門医療機関側,特に相談窓口として対応するソーシャルワーカー等の連携担当者の対応やそれに対する期待について明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。全国の包括5,464ヶ所(2019年7月末時点)から層化二段階抽出法により選定した1,000ヶ所に勤務する4職種(社会福祉士,保健師等,主任介護支援専門員,認知症地域支援推進員)計4,000人を調査対象とした。調査方法は,無記名自記式の質問紙を用いた郵送調査であった。2ヶ所の包括から宛先不明のため返送され,最終的な調査対象者数は3,992人であり,回答は924人から得られた(回収率:23.1%)。結果,受診待機日数は平均16.2日,包括の管轄地域にある医療機関の設置状況は,認知症疾患医療センターが約4割,認知症専門医のいるクリニック(診療所)が4割弱であった。鑑別診断に向けた受診援助を行ったことがある専門職は8割強であった。認知症専門医療機関からの助言で最も多かったのは,「認知症が疑われる主症状を情報収集するようにとあなたに助言すること」(5割強)であった。受診方法や診療体制に関する説明等は,「診療予約の手続きに関する説明」「主介護者の同行が必要である旨の説明」が7割を超え,「受診の緊急度を鑑みた診療日の調整」が6割強であったが,「主介護者を心理面でサポートできる人の同行が必要である旨の説明」は約4割であった.診断後における支援に関する説明等は,「診断結果の説明」「今後の治療内容に関する説明」が8割弱であったが,「経済支援のために活用した社会保障制度に関する情報」「今後経済支援のために必要な社会保障制度に関する提案」は2割を下回っていた.鑑別診断に必要な情報収集の助言への期待は6割以上,診断後の支援の説明等への期待は8割以上であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は,地域包括支援センター500ヶ所,2,000人を対象とした全国調査を予定していたが,予算の調整等により予定の倍の規模で調査が実施できた。それにより地域包括支援センター側からみた認知症専門医療機関の実態をより詳細に確認することができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2020年度)の研究は,①認知症疾患医療センターを対象に認知症の鑑別診断に関する診療体制と連携担当者による受診・受療援助の実態を明らかにすること,加えて②認知症の人やその家族を対象に認知症診断直後の心理面・生活面での支援ニーズについて明らかにすることである。①の研究については,認知症疾患医療センターの連携担当者(精神保健福祉士,看護師等)を対象とし,訪問調査(ヒアリング)を行う。認知症疾患医療センターは全国より数ヶ所選定し,調査依頼を行う。訪問調査では、医療機関の診療体制(週当たりの診療日数,診療予約から受診までの期間等)および調査対象者である連携担当者が実施している受診・受療援助(診断前後の対応内容等)などを尋ねる。なお、コロナウィルスの感染拡大状況等により,訪問調査が実施不可能となることが想定される。その場合には量的調査(質問紙)ならびに電話調査等に変更する。②の研究については,自治体や認知症支援団体と連携・協働し,質的・量的調査を実施する。ただし質的調査は①と同様に実施不可能となることが想定され,その場合は量的調査を主とした計画に変更する。
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