2018 Fiscal Year Annual Research Report
都市部高齢者に適した住民主体の生活支援サービス提供モデルの検討
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18H00960
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
野中 久美子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70511260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 洋史 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任講師 (00565137)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日常生活支援 / 助け合い / 互助 / 高齢者 / 生活支援体制整備事業 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、聞取り調査対象事例抽出のために;1)ワーキンググループにて「日常生活支援サービス」の定義に関する議論、2)文献レビュー、3)北区および大田区の地域包括支援センターと社会福祉協議会への聞き取り調査を実施した。その結果、1地区では、当初の想定に反し、3種別組織(社会福祉協議会、シルバー人材センター、ボランティア団体)による4事例の抽出に留まり、住民主体の日常生活支援サービス提供活動が進んでいない、または地域包括支援センターと社会福祉協議会によるこれらの活動の把握が進んでいない可能性が示唆された。また、地域包括支援センター職員への聞き取り調査では、「日常生活支援サービス」に関する定義やイメージは多様であり、各職員がそれぞれの定義に基づいて地域づくり支援や社会資源把握を行っており、その結果として地域で創出される活動内容(通いの場、移動支援など)も多少の影響を受ける可能性も示唆された。 令和元年度は、東京都特別区内にて城南・城北・城東・城西地区の5自治体(大田区、板橋区、北区、足立区、世田谷区)の協力を得て、各区に設置された全地域包括支援センター110事業所と地区社会福祉協議会を含む社会福祉協議会30事業所を対象とした質問紙調査を実施した。99事業所より回答を得て(回収率71%)、11種の組織形態が運営する101事例を抽出し、東京都内特別区における住民主体の生活支援サービス提供活動の発足状況を明らかにした。自治体により住民主体の生活支援サービス提供活動の発足状況に差異がみられ、城西地区の世田谷区が他区に比して最も多くの活動が立ち上がっていること(35事例)、多様な形態の団体が活動に参画していることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、研究フィールドと設定した東京都内2区の全地域包括支援センターと社会福祉協議会への郵送による自記式質問紙調査により、令和元年より実施予定であった聞き取り調査対象事例の抽出を計画していた。そのために、同区の地域包括支援センターと社会福祉協議会職員へ、個別の面接による聞き取り調査を実施した。その過程で次の2点が明らかになった。まず、1地区では、地区では当初の想定に反し、3種(社会福祉協議会、シルバー人材センター、ボランティア団体)による4事例の抽出に留まり、住民主体の日常生活支援サービス提供活動が進んでいない、または地域包括支援センターと社会福祉協議会がこれらの活動の把握が進んでいないことことも明らかになった。次に、地域包括支援センター職員の「日常生活支援サービス」に関する定義やイメージは多様であり、郵送による自記式質問紙調査では、本研究が目的とする多種多様な形態の住民主体の日常生活支援活動事例を抽出できない可能性が高いことである。以上の理由から、平成30年度中に聞き取り調査対象事例の選定に至らなかった。 令和元年度は、東京都大田区・北区・板橋区・足立区・世田谷区の全地域包括支援センター110事業所(以降、地域包括)と地区社会福祉協議会を含む社会福祉協議会(以降、社協)30事業所を対象とした質問紙調査を実施した。140通の調査票を発送し、99事業所より回答を得て(回収率71%)、11種の組織形態が運営する101事例を抽出しできた。令和2年2月より、世田谷区内の団体と利用者に対する聞き取り調査を集中的に行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、聞き取り調査は中断せざるえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、住民主体の日常生活支援サービス提供活動が比較的に活発な自治体、および住民主体の助け合い活動を推進する生活支援体制整備事業で先進的な取り組みを行う自治体の地域包括支援センターと社会福祉協議会への質問紙調査により住民主体の日常生活支援提供活動を再度、抽出することとした。また、住民主体の生活支援サービス提供活動の発足状況や活動状況に関する把握が全国的に行われていない現状が文献レビューからも明らかになったことから、東京都内の生活支援サービス提供活動の発足状況も明らかにすることとした。そのために、東京都特別区内の城南・城東・城西・城北地域より、それぞれ1区を調査対象とすることとした。さらに、仮説生成を目指して、文献レビューやインターネット検索で把握した団体とその利用者に対しても、面接による聞き取り調査を実施することとした。 令和2年度は、世田谷区内の生活支援サービス団体10事例の運営責任者と利用者への聞き取り調査(研究3と4)を再開し、得られたデータを分析し「支援依頼に至る条件の組み合わせマトリックス」案を作成する。しかし、新型コロナウィルスに伴い、これら調査の実施可能性が不透明になっている。
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