2019 Fiscal Year Annual Research Report
日本伝統の繊維加工技術を活用した革新的ナノスマートテキスタイルの創製
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18H00965
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高崎 緑 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (00402149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 英明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10230103)
宝田 亘 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (50467031)
鞠谷 雄士 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70153046)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノスマートテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリエチレンテレフタレート(PET)を原料とし、レーザーエレクトロスピニング(LES)によってウェブ状の布帛の作製を試みた。得られたウェブの熱特性を評価した結果、いずれの条件もLES用供給繊維に比べ、結晶化温度が低下した。また、レーザー出力が上昇するにつれ、結晶化温度は高温側にシフトしたのに対し、印加電圧の増大に伴う結晶化温度の明瞭な差はみられなかった。偏光顕微鏡観察による複屈折測定の結果から、レーザー出力が上昇することでウェブ中の繊維の複屈折の分布が広くなる傾向を示すことが確認された。複屈折の分布のなかで、低配向の繊維と高配向の繊維が混在する場合もあることがわかった。これらの結果から、レーザー出力を制御することで、異方性分布をもつウェブ化の指針を得ることができた。 また、ポリオレフィンであるポリエチレンやポリプロピレンを原料とし、LESを応用したウェブ化も試みた。LESの供給繊維の繊維径の影響を検討した結果、供給繊維がより太い場合、レーザー光の吸収率増大効果によって細径化が促進されることが確認できた。極性の低いポリオレフィンに関し、レーザー光の吸収率効果を利用することで、細径化の条件を見出すことができた。 今後は、各種高分子について、LES条件によるウェブ中の繊維・分子の配向性や構造形成におけるメカニズムを検証するともに、熱特性や力学特性などの各種機能性を評価し、実用化の可能性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種高分子について、紡糸条件によって得られる繊維の配向性、熱特性、細化特性が制御可能である指針が得られた。 今後は、紡糸条件と各種機能性に関する機序を明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエステルやポリオレフィンなどの高分子を原料に用いてLES等を実施し、各種条件で得られる試料について、構造評価を実施するとともに、力学特性・熱特性・電気特性をより詳細に調査し、ナノテキスタイルの実用化に向けた探査研究を行う。最終的には、本研究を総括する予定である。
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Research Products
(4 results)