2019 Fiscal Year Annual Research Report
家政学的知見に基づいた生活支援教材の開発-ブータンでの協働を事例として-
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18H00969
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
高増 雅子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20120769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晴子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50299905)
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60017241)
飯田 文子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60160826)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブータン / 児童 / 教材 / カリキュラム / 食育 / 栄養バランス / 弁当 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブータンの初等教育の中で、児童がバランスの取れた食事摂取を考えるためのカリキュラム作成と教材づくりであり、そのための第1次調査として、2019年9月にパロ市郊外のド―テング公立小学校の高学年男女各20名の日常昼食時の弁当調査と、パロ市の市場調査を行った。 研究デザインは、小学校の協力の元、昼食時の児童の弁当を写真撮影し、弁当の写真から栄養素等の摂取量を推定する食事調査法で行った。ほとんどの児童は、インド製・中国製の保温性のあるランチジャーを弁当箱として使用しており、児童の食事摂取量はジャーの容量とほぼ一致しており、重量について換算できると考えた。調査は、調査対象校の校長の許可を得た後、調査対象者の児童への説明と同意を得たのち実施した。 結果、児童の弁当のおかずは1品のみであり、使用されている食材の蛋白源は、主に飯由来のものが1/2近く、おかずに使用されているチーズまたは肉、豆由来の蛋白質は全体の1/4未満、児童の摂取基準から換算すると、蛋白質不足であった。おかずの量は、女子で平均175g、男子は平均234g、唐辛子の入った辛い主菜が多く、少ないおかずで沢山のご飯を食べていた。おかずには、どの料理にも油が使われていたが、脂質を多く含む食材を使用していないため、脂質も不足していた。また、カルシウムや鉄、ビタミンCを除くビタミン類も不足しており、特にに女子において栄養素の充足率が低い傾向が見られた。パロの市場では、様々な食材が売られてはいたが、日常的に使う食材は限られているようであった。 そこで、児童に自分の弁当の栄養バランスが確認できるように、食材に含まれている栄養素量の早わかりカードを試作し、環境教育の授業で自分の弁当の栄養バランスを確認するために使用し、ある程度児童の理解を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブータンの初等教育の中で、児童がバランスの取れた食事摂取を考えるためのカリキュラム作成と教材づくりが、本研究の目的である。 一昨年から、継続している首都ティンプーの小学校での「おやつマップ」を教材として利用した間食の適量摂取の授業では、児童が積極的に授業に参加して、間食に関する知識や態度に良好な方向への変容を見ることが出来た。 また、おやつマップをクリアファイルに印刷し、気軽に利用できる教材を現地語で作成し、ティンプーの小学校校長会を通じて、市内の小学校・保育園に配布することが出来た。 2019年に実施した、パロ市郊外のド―テング公立小学校の高学年男女各20名の日常昼食時の弁当調査と、パロ市の市場調査結果を基に、児童に自分の弁当の栄養バランスが確認できるように、食材に含まれている栄養素量の早わかりカードを試作し、環境教育の授業で自分の弁当の栄養バランスを確認するために使用し、ある程度の児童が自分食事の摂取に関する知識を得ることが出来たのではと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ブータンの初等教育において、ティンプー、パロの小学校で、教材やカリキュラムの試行を行い、ある程度の成果を得ることが出来たので、継続して今年度もより良い教材、カリキュラム作りを行っていきたいと考えている。 また、ティンプー市内の小学校、保育園に教材としてファイルを配布した後のフォローアップ、興味を持っていただいた教員等とのワークショップ等を開催しながら、ブータンでの食教育、栄養教育のカリキュラム、教材づくりの礎となればと考えている。 しかし、現在コロナの影響で、バンコク、インド経由でブータンに行くことが不可能な状態にある。また、現地のカウンターパートとの連絡も難しいものがある。 コロナが終焉して、ブータンへの渡航可能になることを願いながら、2021年2~3月に、現地調査を実施したいと考えている。
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Research Products
(3 results)