2020 Fiscal Year Annual Research Report
家政学的知見に基づいた生活支援教材の開発-ブータンでの協働を事例として-
Project/Area Number |
18H00969
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
高増 雅子 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (20120769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晴子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50299905)
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60017241)
飯田 文子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60160826)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家政学 / 生活支援 / 女性自立 / 教材開発 / ブータン / NCWC / 経済的自立 / 家庭科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,個人・家族・コミュニティの最適で持続可能な生活を目指す家政学的見地から,ブータンにおけるニーズを分析し,現地と協働で資料や教材を作成し,提供することである。また,持続可能な生活支援として,日本における家庭科教育の手法を生かし,教育に主眼を置きつつ家政学の見地から,研究を進めていった。 本研究は,2018年・2019年,Covid-19により現地調査は2022年にのびたが,ブータンの都市部と農村部で主に働く女性への聞き取り調査を行った。2018年NCWC(National Commission for Women and Children;女性と子どものための国家委員会)やNCWCで講習を受けた女性への聞き取り調査では,女性へのDV や子どものケアがあげられており,DV に対しては緊急サポートのシェルターの設置や RENEW(女性支援の NGO)との連携,育児放棄への対応などが課題となった。Covid-19禍で、海外からの支援がほとんどなかった2022年調査では,NCWCが女性グループへのマイクロファイナンス事業を行っていた。成功体験や失敗体験などをグループ間で経験知として共有することで,女性の経済的自立を支え,女性をエンパワーしていくという枠組みが徐々に出来つつあった。また,”Nutritious and food security Program”で農業支援による女性の経済的自立支援の成果について,聞き取り調査を行った。その結果から,女性支援の家政学的見地からの結論としては,女性が経済的自立を図ることが最も重要な要因であることが明らかになった。 一方,生活支援のための資料・教材として,「生活雑貨の商品化プログラム」を作成し,2019年・2022年に女子学生を対象に実践検証を行い,女性の経済的自立の一助になることを確認し,ある程度の成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,家政学の縦断的研究的意義をもつものでもあり,この研究で得られた資料や教材、プログラム等の成果は,今後の家庭科教育にも生かしていけると考える。また,貧困に陥りやすい子どもや女性を対象とした本研究は,ジェンダー視角からアプローチすることができる家庭科教育の視点で,ブータンでの生活のボトムアップを図ることができたのではと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年の現地調査で,ブータンのNutritious and food securityに参加し,主催者側から次年度以降の専門家養成とワークショップ開催の依頼を受けた。また,今までの研究成果および現地で得られた人脈等を活用し,ブータンのJICAの女性支援の専門家や指導員との連携も,今後進めていくことができるのではと考える。 今後,ブータンで得られた成果をふまえて,そのほかの開発途上国の支援に共通するモデル教材として提供できるよう改善していくとともに,その成果をアジア家政学会,国際家政学会等を通じて国内学会だけでなく広く世界に発信していきたいと考える。
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Research Products
(1 results)