2018 Fiscal Year Annual Research Report
社会教育・福祉・予防医療の連携とコミュニティ・エンパワーメントの実証的比較研究
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18H00983
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
松田 武雄 中村学園大学, 教育学部, 教授 (90175604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 浩 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00227399)
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (00334384)
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10190761)
河野 明日香 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (10534026)
上野 景三 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (30193824)
石井山 竜平 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (30304702)
岡 幸江 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50294856)
藤村 好美 獨協大学, 経済学部, 非常勤講師 (50372694)
肖 蘭 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任助教 (50730793)
李 正連 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (60447810)
大串 隆吉 首都大学東京, 人文科学研究科, 客員教授 (70086932)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会教育 / 地域福祉 / 予防医療 / Social Pedagogy / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度で最も大きな研究実績は、『社会教育と福祉と地域づくりをつなぐ』(大学教育出版、2019年3月)と題する単行本を刊行したことである。本の出版のために調査し、検討会を開き、年度末に刊行した。 日本の地域調査は、新たな事例を発掘して、取り組みが進んだ。まず島根県松江市の調査を引き続き行い、特に公民館に地区社会福祉協議会が設置されて、社会教育と地域福祉が一体となって地域づくりが行われている実態を明らかにした。考察した論文は、前記の単行本に掲載した。関連して福岡県大牟田市も、公民館に地区社会福祉協議会が設置されており、生涯学習課、地域コミュニティ推進課と2つの公民館を調査し、松江市と比較した。そのほか福岡市花畑公民館では、地域包括支援センターと連携して活動に取り組んでおり、その活動の様子を調査した。また、沖縄県那覇市の指定管理者制度を導入している2つの公民館について、地域包括支援センターや地域づくりとの関連を調査した。 予防医療との連携については、松本市で、フレイル予防と公民館との連携に取り組む試行的実践の可能性を追求するために、松本市の生涯学習課と地域づくり課および松本市歯科医師会と協議したが、実現には至っていない。福岡県飯塚市では、フレイル予防の実践を早くから取り組んでおり、公民館との連携を探るために調査した。 本年度は予算の関係で海外の調査はほとんどしないという計画であったが、カナダのトロントのヨーク大学付属難民研究センターで開催された難民支援サマーコースに参加し、その内容について調査した。サマーコースの概要とその考察については、前記の単行本に掲載した。 以上、本年度は海外の調査にあまり取り組めなかったが、これまでの調査研究の成果を単行本にまとめることができたのは大きな成果であった。また、『社会教育と福祉とコミュニティ支援の比較研究』第2集を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画通り順調に進んでいる。第一の課題であった単行本の刊行については、検討会を重ね、年度末に刊行することができた。海外の調査は予定通りカナダ1国にとどまったが、難民支援という新たな対象へと広げることができた。日本の地域調査は計画通りにいくつかの地域で取り組むことができた。特に大牟田市など新たに発掘した事例の調査も行うことができ、比較研究の対象が広がった。以上のように研究対象を広げつつ、全体として順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の調査については次の通り取り組む。①福岡県大牟田市では、公民館内に地域包括支援センターが設置されており、まさに社会教育 と地域福祉がしっかりと連携した実践を展開し、それがコミュニティ・エンパワーメントにつながっている。研究代表者と分担者でチームをつくり調査する。その結果をまとめ学会で報告して、報告集に論文を掲載する。②福岡市早良区においても、公民館と地域包括支援センターの連携に取り組んでおり、別のチームをつくって調査する。③松本市と松江市については継続的に調査しているが、今年度も調査を継続して、松本モデルと松江モデルとして提示していく。 海外の調査では、①イギリスにおけるSocial Pedagogyの動向について調査研究する。②ドイツにおける若者支 援とSoc1al Pedagogyとの関連について調査研究する。③Highlander Research and Education CenterのCommunity Organizing Worksh op(地域づくりのリーダー養成プログラム)に参加し、参与観察するとともに調査研究する。この結果については、日本社会教育学会で報告す るとともに報告集に掲載する。④ウズベキスタンにおける社会教育と地域福祉、予防医療の取り組みについて、マハッラでの実践とその実践 にどのような人々が関わっているのかについて、現地調査を実施する。⑤韓国の教育福祉の理論と施策、中 国の社区教育の動向について引き続き調査研究する。 ヨーロッパにおけるSocial Pedagogyの理論動向について、日本の社会教育との関連で考察する。特にNatorpの理論と社会教育との関連性について歴史的に検証し、日本社会教育学会で発表するとともに、ヨーロッパのジャーナルに英語論文を投稿する。
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Research Products
(19 results)