2018 Fiscal Year Annual Research Report
ニューカマー第二世代のライフコースに関するエスニシティ間比較研究
Project/Area Number |
18H00987
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
角替 弘規 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10298292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 睦美 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70349827)
児島 明 鳥取大学, 地域学部, 教授 (90366956)
額賀 美紗子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (60586361)
三浦 綾希子 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (90720615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニューカマー / 第二世代 / 多文化教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本におけるニューカマー第二世代のライフコースについて、ブラジル・ペルー・・フィリピン・中国・インドシナの各エスニシティごとの特徴を描き出し、①ニューカマーの編入様式が第二世代の資源編成に与えた影響、②第一世代の「家族の物語」の第二世代での継承・転換、③第二世代のトランスナショナリズム実践への社会経済的変動の影響をインタビュー調査とそこから得られたデータ分析を通じて解明することを目的とする。 本研究計画の第一年目に当たる2018年度は、インタビュー調査のための事前準備を行いつつ、先行する5年間に蓄積されたインタビュー調査によるデータから変換した量的データを用いてジェンダー・世代・学校適応・大学進学・母国語保持の5つの観点について計量的分析を行い、エスニシティ間比較分析を試みた。 ジェンダーについては、学校経験や親子関係においてジェンダーごとの相違が見られ、職業生活については男性の方が経済的成功を重視する傾向が見られた。世代に関しては母語の保持においては1.5世の方が2世よりも有利である傾向がある一方で、学校適応に関しては1.5世よりも2世の方が有利となる傾向が見られた。さらに学校適応ではエスニシティごとに学校の楽しさへの評価が異なっていること、学業成績よりも友人との関係において学校の楽しさが左右される傾向にあることが見いだされた。大学進学に関しては親の人的資本の違いが大学進学に影響を与えている可能性が見いだされた。 また、特に中国系については、移民第二世代の親子関係のあり方に着目し、学業達成に向けてのプロセスやキャリア形成、進路選択といった課題について分析・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた先行する5年間で蓄積されたデータの分析結果を踏まえながら、日本教育社会学会等で成果発表を行う中で、テーマ別エスニシティ間比較研究を行う上で、親世代(日本への移民第一世代)の教育経験や移民第二世代の現状の居住環境等について準備していたインタビュー項目に不十分な点があることが判明した。これによって2018年11月以降に実施を予定していたインタビュー調査をいったん延期したうえで、調査計画を抜本的に見直す必要が生じたため、研究計画に6か月の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れを取り戻すべく、新たなインタビュー調査を行うための準備を進める。また当初実施を予定していたフォローアップ現地調査(帰国した第二世代を対象として各第二世代の出身国へ赴き行うインタビュー調査)の実施に向けて、過去のインタビュー調査から得られたデータの再分析を行い、調査枠組み・分析枠組みの精緻化を図る。
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Research Products
(4 results)