2019 Fiscal Year Annual Research Report
被災した子どものライフコース:東日本大震災発生後10年間の継続的追跡調査研究
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18H00989
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
清水 睦美 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70349827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 洋介 大東文化大学, 文学部, 教授 (80433233)
堀 健志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10361601)
妹尾 渉 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (00406589)
日下田 岳史 大正大学, その他部局等, 専任講師 (30734454)
山本 宏樹 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (20632491)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 近代教育システム / 地方 / 学校 / 被災 / ライフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、当初計画を6か月延長し、以下の3点に関する研究を行った。 (1) 陸前高田市と大船渡市の中学生とその保護者を対象に2019年3月に実施した「陸前高田市(大船渡市)の中学生のふだんのくらしと将来観に関するアンケート」について、回収した調査票から分析用のデータセットを作成し分析を行った。分析視角としては、①進学期待に対する時間選好率からのアプローチ、②被災地における生徒・保護者の進学期待、③震災経験のライフコースへの主観的意味づけ、④震災による学歴便益認知の変容である。成果については、中間報告として日本教育社会学会で報告した。 (2) 卒業生インタビューにより、ライフコースの聞き取りを行った。特に、新型コロナウイルスの影響によりリモートでのインタビューを試みたものの、対象者より対面による実施を求められることが多かった。特に、高校卒業後に首都圏に進学したものを中心にインタビューを行い、中間報告を目指して、分析継続中である。 (3) 震災後8年を俯瞰して、震災が学校教育に与えた影響を総合的に検討し、研究成果として『震災と学校のエスノグラフィー―近代教育システムの慣性と摩擦―』(勁草書房)を刊行した。成果については、震災問題研究交流会での書評セッションや各種書評により、継続研究の意義が確認された。 (4)研究会は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでの実施に切り替え、研究成果公表のための準備を滞りなく行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度末までの研究計画は、2020年度の末の段階で当初の予定どおりの進捗となった。 ただし、2020年度の当初計画のうち、質問紙調査の準備が整わず、2021年度へ延期した。理由は、新型コロナウイルス感染症の影響により、対象地域である大船渡市・陸前高田市への訪問が著しく制限され、サンプリングを行うことができなかっただけでなく、住民基本台帳の閲覧も困難であり、実施時期を1年先に見送らざるをえなかった。 他方、マクロデータの分析(文部科学省『学校基本調査』の「卒業生の状況調査票」の2003-2018年データの分析)は計画どおり行うことができ、2020年3月の震災問題研究交流会での中間報告を行った。女子のみ震災後に大学等進学率の上昇がみられたこと、震災後の管内の新規高卒労働市場が潤沢になり、職業高校の男子に影響したことが、男女での影響の違いにあらわれたと推察され、震災はより高等教育進学をうながす事態にもたらしたことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度実施予定であった質問紙調査を、2021年度末実施として準備を進める。
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Research Products
(6 results)