2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the relationship between "difficulty child" and fetal behavior
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18H00994
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸隈 誠一 九州大学, 医学研究院, 教授 (50380639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒田 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00266082)
大村 吉幸 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任研究員 (10598022)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胎児行動 / 育てにくさ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、心拍ゆらぎが小さなヒトほど、循環反応が過剰なだけでなく情動反応が過大であることが報告されている。我々は、胎児機能不全“偽”陽性が、生後の「育てにくさ」と有意に関連することを見出し発表した。胎児機能不全の偽陽性とは、分娩中の心拍パターンから元気でない(陽性)と診断されたものの、出生後、実際は元気であったことを示す。先述の報告と我々の知見により「もともと心拍ゆらぎが小さな胎児が、分娩ストレスに過剰な心拍反応を示すだけでなく、生後「育てにくさ」を呈しているのではないか」との仮説に至った。 ゆらぎは神経ネットワークにより生じるとされ、自律神経系のみならず様々な神経機能にみられる。本研究では、ヒト胎児のゆらぎと「育てにくさ」との関連を明らかにし、一方で、ラット胎仔の各種行動とヒト胎児の行動を対比させ、ゆらぎの基盤となる神経ネットワークの解明、ゆらぎの形成異常が生じる機序を見出すことを目的とする。本年度、ヒトの研究においては、妊娠初期に当院を受診した妊婦をリクルートし、妊娠初期にはじまる全身運動や呼吸運動を超音波断層法により観察した。また胎児心電図を用いて心拍データの採取を行っている。妊娠後期に、胎児の眼球運動、口唇運動の観察を行っている。以上により、各行動における時系列データを作成し、周波数解析を行い、ゆらぎの形成およびその変曲点を明らかにする予定である。 動物実験では、ラット胎仔を用いた研究を行っている。ラット胎仔の行動を無麻酔下にて超音波断層法により観察し、ヒトと同様に時系列データから胎仔の全身運動、呼吸運動の解析を行い、ヒト胎児とラット胎仔の全身運動等における同様の変動パターン(ゆらぎ発生)が見られる時期や変曲点を見出す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト胎児の妊娠初期胎動に関しては、既に解析を開始しており、胎児心電図を用いた心拍データの採取や妊娠後期の眼球運動、口唇運動の観察においても20例のデータ採取を行っており、一方で、ラット胎仔の行動を無麻酔下にて超音波断層法により観察し、解析を開始している。以上より、計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトとラットを対比させた観察を行い、同様の発達時期における神経回路を理解すべく、ラット摘出脳ブロック標本を用いた神経細胞レベル、ネットワークレベルで解析を進めていく。手法としては、①光学的測定法を用いた解析 ②電気生理学的解析 ③組織学的解析を用いる予定である。呼吸や心拍においても同様の実験を行い、全身運動と呼吸の連関等についても解析を行う。以上により、ヒトとラットのゆらぎ形成における相同性と神経回路の解析を行っていく予定である。
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