2018 Fiscal Year Annual Research Report
非認知能力を育成する放課後支援人材養成カリキュラム開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
18H01002
|
Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
住野 好久 中国学園大学, 公私立大学の部局等, その他 (60243531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 信一 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (60290061)
鈴木 瞬 くらしき作陽大学, 子ども教育学部, 講師 (00740937)
中山 芳一 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (40595469)
松本 歩子 平安女学院大学, 子ども教育学部, 講師 (10615058)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 非認知能力 / 学童保育 / 放課後児童クラブ / 養成課程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、子どもたちに「非認知能力」を育むことこそが、放課後を支援する専門職に必要な要素であると捉え①学童保育実践における非認知能力育成の現状把握、②非認知能力育成の視点を取り入れた新たな学童保育指導員養成カリキュラムの提案を行うことを目的している。 以上の研究目的達成に向けて2018年度に実施した調査研究は以下のとおりである。 ■学童保育実践事例の収集・分析、非認知能力評価法の開発:非認知能力に関する先行研究を整理し、学童保育で育成する非認知能力の内容を検討する手掛かりを得た。また現状の学童保育においてどのような遊びと生活を通して、どのような資質・能力が育まれているかを明らかにするため、グループミーティング型ヒアリング調査によるプレ調査を実施した。 ■非認知能力育成カリキュラム案を含めた養成課程案の作成:国内外の各種資料、既往研究より幼児教育や、保育士、児童厚生員における非認知能力の養成課程と評価の現状について把握・分析を行った。またストックホルム大学の学童保育指導員養成課程の実態を把握し、非認知能力育成のための指導員養成カリキュラムへの応用可能性を検討した。 ■放課後における非認知能力育成及びその支援人材養成に関する国際調査:スウェーデンの学童保育に関して、第三者評価機関、指導員養成大学、現場指導員へのヒアリング調査を実施した。スウェーデンでは非認知能力と認知能力をセットでとらえ、人間関係能力や創造性などを重視することが学習指導要領の中で位置づけられていた。そしてそれに基づく実践の評価が、第三者評価機関によって行われている現状が把握された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下4つの状況から、おおむね順調に進展していると判断する。 ■学童保育実践事例の収集・分析、非認知能力評価法の開発に関する国内調査においては、議論が深まり、新たな仮説が生じたことなどからプレ調査に時間を要し、評価方法についての本調査は持ち越しすることとした。 ■非認知能力育成カリキュラム案を含めた養成課程案の作成については、次年度から研究を遂行する予定であったが、当初より予定を早め、準備を進めることができた。 ■放課後における非認知能力育成及びその支援人材養成に関する国際調査については、当初の計画通り、スウェーデンにおいて調査を実施し、成果が得られた。 ■2018年度の研究成果については、学会においての発表がすでに予定されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
■学童保育実践事例の収集・分析、非認知能力評価法の開発:現状の学童保育においてどのような遊びと生活を通して、どのような資質・能力が育まれているのかを明らかにするため、2018年度のプレ調査(グループミーティング型ヒアリング調査)を踏まえ、共同研究者が拠点とする地域(岡山県・石川県・新潟県・大阪府)等において本調査を行う。そして、既存の非認知能力として示される枠組みと比較検証する中から、学童保育で育まれる子どもの資質・能力の独自の枠組みの生成を行い、評価方法を検討する。 ■放課後における非認知能力育成及びその支援人材養成に関する国際調査:非認知能力を育成できる学童保育指導員を養成するための研修カリキュラムを開発するために、諸外国の放課後事業及び放課後支援人材養成の実態を調査し、非認知能力育成に関する視点の有無、カリキュラムの実態を把握する。2019年度は福祉的観点から学童保育が運営され指導員の通信教育カリキュラムが存在するニュージーランドにおいて、ヒアリング調査及び、学童保育現場の観察調査、指導員を対象とした実践についての聞き取り調査(目標、計画、省察等)を実施する。また、子どもの自治を重視し、地域に根を張った豊かな生活と文化・芸術活動が展開される韓国の学童保育における指導員養成の実態を把握するため、韓国の学童保育関係者を日本に招へいしヒアリング調査を実施する。 ■上述の調査結果を踏まえ、非認知能力育成の視点を取り入れた学童保育指導員養成カリキュラムの開発、試行、検証を行い、現任者への非認知能力育成の視点を取り入れた学童保育指導員養成カリキュラムの提案をするとともに、大学等での非認知能力育成の視点を取り入れた学童保育指導員養成カリキュラムについても提案し、学童保育指導員養成の今後のあり方を提言する。
|