2019 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある児童生徒のいじめ被害を予防するインクルーシブ学級経営モデルの構築
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18H01005
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
久保 順也 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (20451643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木田 潤 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20509145)
野崎 義和 宮城教育大学, 教員キャリア研究機構, 講師 (20733067)
佐藤 静 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (60323127)
本図 愛実 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (70293850)
越中 康治 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70452604)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | いじめ / 発達障害 / インクルーシブ教育 / 学級経営 / 教員養成 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校・中学校・高等学校の通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒(いわゆるグレーゾーンの児童生徒を含む)の,いじめ被害・加害の実態,および学級内の他の児童生徒との相互作用の様子を明らかにするため,研究初年次の平成30年度に行ったアンケート調査結果の分析を令和元年度(研究2年次)も継続して実施した(研究①)。具体的には,特定の児童生徒のいじめ被害様態と当該児の行動特性との関連を分析したところ、「感情コントロール不全」得点が高い児童生徒は「疎外」被害に遭いやすいこと、また「衝動性」得点が高い児童生徒は「言語的・物理的攻撃」被害に遭いやすいこと、さらに周囲の児童生徒は、「感情コントロール不全」得点が高い当該児を「トラブルメーカー」また「被害者」と見なしやすいこと、「衝動性」得点が高い当該児を「トラブルメーカー」と見なしやすいこと、等が明らかとなった。これらの分析結果は、「発達障害児のいじめ被害-加害をめぐる学級内の人間関係に関するシステム論的考察」と題して、2019年9月の日本家族心理学会にてポスター発表として公開された。 また,発達障害のある児童生徒らが通常学級の一員として受容され,自己有用感を育むために有効なインクルーシブ教育の視点を取り入れた学級経営モデル構築を令和元年度も継続して実施した(研究②)。具体的には,現職教諭らを対象とした研修において事例検討を行い、学校現場における工夫や課題について考察を行った。これらの成果は、「インクルーシブの観点における現職教員研修や授業の実践」と題して、2020年3月発行のBPプロジェクト令和元年度活動成果報告書に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究①(大規模アンケート調査)については、当初計画どおりに平成30年度内にデータ回収を終え、大まかな分析作業を終えている。また研究②(実践例収集)については、収集された事例を基にインクルーシブ学級経営モデルを検討することができており、十分な進捗が得られたと考える。一方で、これらの研究から得られた知見を基に、実際に学校現場にモデルを適用し、その効果を検証していくフェイズに移る必要があったが、令和2年3月頃から新型コロナウィルス感染防止対策のため全国的な休校措置が敷かれ、引き続き4月5月も休校となったため、平年と同じような4月スタートの学級経営が令和2年度は実施できておらず、また学校現場でのモデル適用および効果検証の実施目処が立っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の3年目(最終年度)にあたる令和2年度は、研究①および研究②の知見を基に生成された、発達障害のある児童生徒が通常学級にて周囲の児童生徒と相互作用しながら学びつつ、いじめを予防し、皆が安全・安心な学校生活を送ることのできる教育環境を実現するための「インクルーシブ学級経営モデル」の妥当性・有効性を検証するために、学校現場への適用と効果検証を行う予定であったが、令和2年3月から5月にかけて、新型コロナウィルス感染予防対策のための全国的休校措置が実施されたため、令和2年6月現在で上記研究計画の実施目処が立っていない。そのため今年度中はモデルの有効性について部分的検証を行いつつ、研究計画を次年度まで延長する計画変更の必要性も検討する。 上記に代わり今年度は、「インクルーシブ学級経営モデル」の教育のためのカリキュラムプランや研修モデルの開発を中心的作業として推進する。教員養成教育および教職大学院の授業等にて上記モデルについて教授し、その効果と課題を検証する。
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Research Products
(5 results)