2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development and application toward technology education of curricula which enhances practical prospect of academic ability based on system thinking
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18H01018
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤本 登 長崎大学, 教育学部, 教授 (60274510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小八重 智史 宮崎大学, 教育学部, 講師 (90908477)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | システム思考 / 氷山モデル / ループ図 / VR教材 / カード教材 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,生徒のリスク・システム思考の概念構築を図るカリキュラム・教材の開発を行うために,①電力需給システムを題材にリスクとシステム思考の概念構築を意識したカリキュラム・教材の開発とその実践,②生物育成におけるリスク思考の概念構築を意識したカリキュラム・教材の開発とその実践,③材料と加工や情報技術に関するリスクとシステム思考化によるカリキュラム・教材の開発を実施する。 まず,水産学部と経済学部の学生へのリスク調査を2021年12月に実施し,2016年度の結果と比較したところ,海外食品,X線利用研究は共に1%か5%の有為差で肯定群の減少が,また原子力利用とPCウイルスでは経済学部と水産学部で5%の有為差で肯定群の減少がみられた。福島第一原子力発電所の事故が学生にとっては印象が薄くなっていることが分かった。 ①では,送電システムの基礎的な理解を深める全天球型発電所探索アプリを開発し,中学校技術分野のエネルギー変換の評価・活用の授業で利用した。その結果,生徒は発電の仕組みについての理解が促進され,全天球シーン,資料,動画といったコンテンツにより,体験的な学習の提供だけでなく知識の補填を促す可能性が示唆された。一方,改善点として,全天球シーンにおける移動方法の検討や,シーンの拡充,画質の向上などが挙げられた。また,システム思考のループ図や氷山モデルを利用した授業実践も行った。 ②では,生物育成のカード教材を用いて授業実践を行い,農薬を環境・経済・社会の観点から適切に選択する必要性に気づき,農薬への理解が深まったことから,生徒のリスク認知度を向上させた。 ③では,プログラミング教育を意識したロボット教材によるシステム学習のあり方を検討するために,小・中学生を対象にしたロボット教室を行った。その結果,主体的な学習が身についている児童・生徒ほど氷山モデルの視点を持っている傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の主題である電力需給を意識した電源選択について,全天球型発電所探索アプリをVR教材として開発した。また,システム思考について,氷山モデルとループ図を用いた授業実践を行い,評価活用分野での有用性を確かめるとともに,大学生を対象にしたシルク認知調査から,原子力や放射線に関する忌避意識が低下傾向にあることを明らかにした。また,生物育成への展開を図るために,カードゲームによる農薬のリスクマネジメント学習を考案し,授業実践を行っている。情報においては,ロボット教材を用いたプログラミング学習を実施し,システム思考学習の可能性を検討しているが,材料と加工については十分行えていない。主な理由は,新型コロナウイルス感染症の流行により,学校における授業計画の変更(時期や方法)が多く,授業実践等が計画的に行えないことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに行った実践研究を論文化(全天球型発電所探索アプリの授業評価,視点の動きから見た電源選択の特徴と評価,システム思考による視点の多様化と電源選択など)を行うとともに,これらの研究成果を生物育成,情報,材料と加工に関する技術の評価・活用の授業場面に転用するとともに,エネルギー変換において,年間を通してシステム思考を段階的に導入するための授業展開例を作成する。また,氷山モデルとループ図について、中学校技術分野における適合性についても検討を行う。全天球型発電所探索アプリで新型コロナウイルス感染症のために発電所の取材ができていない。石炭火力発電所と揚水発電所については,可能になり次第実施を行い,教材化を図る。
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