2021 Fiscal Year Annual Research Report
困難を示す生徒・学生のための生態心理学的アプローチによる学習環境デザイン
Project/Area Number |
18H01030
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
森 直久 札幌学院大学, 心理学部, 教授 (30305883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 彰吾 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 教授 (40408018)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 相互行為分析 / アフォーダンス / 心理的道具 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により滞っていた高校(いわゆる学力困難校)の授業観察を再開した。観察対象となった科目では、生徒たちが交流を通じて制限時間内に解答を提出するアクティブラーニング型授業が行なわれていた。与えられる課題は一貫して、学力三要素のうちの「知識・技能の獲得」の比重を抑え、「思考力・判断力・表現力」と「主体性・多様性・協働性」が強調されるものであった。学力的問題による停滞を回避し、生徒たちのコミュニケーションを促すことで、対人関係能力や問題解決能力が副産物として獲得可能な環境が提供されていた。担当教員と生徒たちの学級コミュニケーションの相互行為分析によって、先行する成員(教師と生徒)の言動にどのような言動を後続させるかに、授業成立と生徒の成長の鍵があることが示唆された。例えば、特定生徒はいわゆる問題児として授業の撹乱を常に発生させる元凶ではなく、秩序ある授業に貢献することもあり得ることや、生徒の私的行動が結果的に正統的な授業活動の一環となり得ることが判明した。 併せて、大学で行なわれるアクティブラーニング型授業の観察を実施した。ホワイトボード、スマートフォン、付箋などの物質的資源、他の受講生や教員といった人的資源の利用は、これまでと同様散見された。これに加えて、主体的な認知的資源の使用を観察することができた。最初は担当教員によって、授業後の振り返りの際授業状況を説明する語彙として導入された「島」(学習活動が展開される小集団)、「船」(小集団間を行き交い情報交換に寄与する参加者)などの語彙を、受講者たちは進行中の授業をモニタリングし、望ましい状態への補正を協働的に試みるための心理的道具(アフォーダンス知覚を促す媒介)として利用するようになった。アクティブラーニング型授業で教師が行なうファシリテーションの一つとして、このような認知的資源の提供が有益であることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)