2018 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーマンス評価を用いた薬学教育の学修成果評価モデルの構築
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18H01032
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
大津 史子 名城大学, 薬学部, 教授 (90329772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
永松 正 名城大学, 薬学部, 教授 (70103265)
長谷川 洋一 名城大学, 薬学部, 教授 (90535098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パフォーマンス評価 / 薬学教育 / 学修成果 / シミュレーション / ディプロマポリシー |
Outline of Annual Research Achievements |
薬学教育においては、卒業時の学修成果として、ディプロマポリシー(DP)と薬学教育モデルコアカリキュラムで求める10の資質・能力の修得が求められている。しかし、学生の示すパフォーマンスから、これらの資質・能力が修得できているかを直接的に評価する方法(直接評価法)は確立していない。そこで、本研究では、DPと10の資質で求める資質・能力を適切に評価するためにパフォーマンス課題を作成し、直接評価法を開発することを目的としている。 DP及び10の資質に基づく学修成果を直接評価するために、評価の対象となるパフォーマンスを薬剤師としてのベースパフォーマンス、ジェネリックパフォーマンス、プロフェッショナルパフォーマンスに分類した。 今年度は特に、プロフェッショナルパフォーマンスの直接評価のためのパフォーマンス課題として、薬物療法判断の訓練シミュレーションプログラムePDE を利用したパフォーマンス課題の開発を行った。課題に用いるシナリオについて、現役薬剤師によりその医学的質を検証した。作成したパフォーマンス課題を実施し、既実施の各種試験との相関や学習スタイル調査との関連を確認したところ、目的とする薬物療法判断能力のパフォーマンスを適切に評価できることがわかった。また、ベースパフォーマンスの直接評価法として、「実習」科目に着目し、2分野についてパフォーマンス課題としての実習試験を実施した。ジェネリックパフォーマンスについては、本学のポートフォリオのボランティアや社会活動の記録(キャリアポートフォリオ)を用いたパフォーマンス評価法の開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通り、研究は概ね順調に進んでいる。当初の計画では、今年度に、ベースパフォーマンス、ジェネリックパフォーマンス、プロフェッショナルパフォーマンスのパフォーマンス課題の作成を計画していたが、概ね計画通りに作成することができた。特にプロフェッショナルパフォーマンスのパフォーマンス課題として、薬物療法判断の訓練シミュレーションプログラムePDE を利用したパフォーマンス課題の開発を行い、現役薬剤師により、その医学的質を検証することができた。また、作成したパフォーマンス課題を実施し、既実施の各種試験との相関や学習スタイル調査との関連を確認することができたことは、当初の計画以上に進展した。さらに、同様に6症例の課題作成に着手することができた。 一方、ヒト型シミュレーター(本助成で購入:シムマン3G)を利用したパフォーマンス課題については、課題案の作成ができた。今年度、医学的・薬学的検証を行う必要がある。また、他のパフォーマンス課題についても、パフォーマンス課題の作成及び一部実施ができた。以上、当初の計画より一部進展しているが、一部わずかに遅れている部分もあり、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画としては、昨年度開発したePDEを用いた直接評価法の社会的検証軸の作成を中心に行う予定である。本来の学修成果は、卒業後の社会の中でそのパフォーマンスがいかに発揮されているかが重要である。そこで地域でのリーダ的役割を担っている薬剤師によるプロジェクトチームを形成し、開発したパフォーマンス課題と学修成果ルーブリックによる自己評価を実施し、その結果を基に、理想的なパフォーマンスレベルの基準とする。これを新たな社会的検証軸とし、昨年度開発したパフォーマンス課題の妥当性を検討する。 また、開発に着手した他のパフォーマンス課題を順次作成し、一部学生に課し、妥当性を検証する予定である。 さらに、各パフォーマンス課題の結果と、5年次に行う社会参加である実務実習でのパフォーマンス評価との関連についても検討する。これらの方策を用いて、研究計画を推進する。
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